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 ※毎週金曜日配信 2002年6月7日 第1号
経済論評
『モーニング娘。』
古川 隆 中国地方総合研究センター会長


 5月下旬、咋年の所得税1000万以上の納税者が公表された。様々な話題を呼んだが、中でも「モー娘。」のうち、昨年交替しなかった中学生2人を含む9人全員が名を連ねたとの報道は圧巻であった。
 成熟社会に入り、長引く不況などの言葉がやたらと宣伝され何となく鬱陶しい日々が続いているが、「モーニング娘。」はその中での光明である。
 まず名前の「モーニング」がいい。日本は古来、地理的・自然的な条件に恵まれ、太陽の昇ると共に戸外での生活の営みが始まり、西に沈むに併せて終える、といった基本的な生活のパターンが作られていた。 こうして自然と共生しながら働く事に人間としての価値をも見出していた。しかし、生活時間帯の多様化や、グローバル化のもと、深夜まで氾濫する刺激的な情報はこのパターンを変えてしまった。 加えて朝食をとらない人々の増加は、朝のスタートダッシュの悪さに拍車をかけている。「モーニング娘。」は薄れつつある朝の重要さを改めて思い起こせてくれる。
 次に雰囲気の「明るさ」だ。はつらつとした元気一杯の歌と踊りは今の日本に大切なもので、特に「どんなに不景気だって恋はインフレーション」は金融界の首脳部にもよく聞いて貰いたい感じだ。
 3番目は、「柔軟さ」であろうか。安全・情報開示の旗印の下、食品界を席巻している「賞味期限」は4才の子供にまで「期限が切れているからイヤ」なるセリフを吐かせ、食品以外でも使われてきている。 ドッグイヤーからマウスイヤーへと移りつつあるといわれているが、変化のスピードアップはますます多様性を進ませている。
 1997年に5人でスタートした「モームス。」は、その後メンバーの入れ換えや増員を図ってきた。昔はこの種のグループだと一人抜けると、グループ自体の存続が関わり大変であった。13人の中に、 小集団的ないわばサブユニットである「たんぽぽ」などのシステムの取り入れも多様化性への対応として絶妙といえる。
 ところで変化への対応は企業にとって重要な課題である。敗戦後の50年で大きく変わったものを3点あげれば、第1には何といっても「所得の向上」である。次は「女性の社会における位置付けの変化」であろうか。 第3は「音感の向上」と思える。
 敗戦後の社会環境の変化は「絶対音感」という言葉に市民権を与えてきた。「変化への対応」に大童な上司が部下と一緒にカラオケにでもいき、顧客(部下)サービスのつもりで「モ娘。」 でも歌おうものなら事は重大である。絶対音感の持ち主の部下なら、少しの音程のズレでも気になって仕方がなくノイローゼになるオソレすら生ずる。
 変化への対応も、事の本質をわきまえずに行うと、このように顧客満足度の大幅マイナスに繋がりかねない。

【プロフィール】 古川 隆(ふるかわ たかし)
1955年 神戸大学卒業 中国電力入社
1995年-2001年 中国電力 副社長
1996年-1999年 広島経済同友会 代表幹事
安田大学 客員教授・広島経済大学 特別客員教授
経済長編読物
 6月5日(水) 世界ビール市場、大型再編加速

 欧米市場で販売量が伸び悩むビール業界で世界規模の大型再編が加速している。先月30日には、サウスアフリカン・ブルワリーズ(SAB、本社ロンドン)が、 米たばこ大手フィリップ・モリス傘下で、ミラービールのブランドで知られるミラー・ブルーイングを買収することで合意、世界第2位のビール会社誕生が決まった。SABはミラーの主力5ブランドを手に入れる。
 日本の業界関係者は「これからは傘下にどれだけ有力ブランドを抱えているかが勝負。大型再編は今後も続く」(キリンビール)と指摘している。
 2001年の世界のビール市場の販売量は前年比3%増、最大市場である米国は0.5%増とアジアを除いて全体的に伸び悩み。欧米で健康志向からビールよりも低アルコール飲料が好まれる傾向が定着したことが大きな要因だ。
 特にミラーは、バドワイザーで有名な世界最大手の米アンハイザー・ブッシュにシェアを奪われ、01年の年間売上高は前年比3%減とじり貧状態だったため、親会社フィリップ・モリスが売却を決めた。
 一方、世界3位のインターブリュー(ベルギー)は一昨年に英国の企業グループ、バスのビール部門、昨年にはドイツのビール大手ベックグループを買収、再編を加速させている。 SABのマッケイ最高経営責任者(CEO)は「今回の合併で、今後の再編劇に向け好位置を占めることができた」と一層の規模拡大に意欲を燃やしている。
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