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 ※毎週金曜日配信 2004年7月16日 第109号
経済論評
『揺れる球団経営』
 増岡 洋 財団法人広島地域社会研究センター 常務理事


 プロ野球界は、オリックスと近鉄の合併構想に端を発した球界再編に話題が集まっている。1リーグ制、1リーグ10球団制、 3軍構想などが報じられ、オリンピックを目前にして新聞のスポーツ欄に格好の話題を提供している。多くの制度はほぼ50年で、 耐用年数を迎え改革をせまられるが、プロ球界もその時期に差しかかっているといえる。
 プロ野球も通常のビジネスと何ら変わらない。顧客(ファン)の支持あってこそのビジネスである。経営の視点からプロ野球を考えてみたい。
 まずプロ野球経営の特徴をみてみよう。第一は参入障壁の高い事業である。既存球団の加盟承認を得て30億円ともいわれるリーグ加盟料を支払い、 本拠地を決め、有能な監督、コーチ、選手およびスタッフを採用しなければならない。しかも選手の報酬はデフレの時代でも下方硬直的であり、 なかには企業の支払い能力を超えているものがあるといわれている。第二は投資利回りの低い事業である。中期的にみても上記のような投資に対する適正なリターンは期待薄である。 他の投資尺度を持たないと新規参入のモチベーションは働かない。第三は高固定低変動費型の費用構造の事業である。すなわち経費に占める固定費(人件費)のウエートが高く、 それは売り上げの多寡にかかわらず必要とされる経費であり、このタイプの事業は、売り上げが損益分岐点を下回ると多大な損失が発生してしまう。 多額の設備投資と人材を必要とする都市型のホテル業、空運業に似ている。季節等による繁閑の差が大きく稼働率の平準化が望めないなどのデメリットはあるが、 ひとたび損益分岐点を上回ると変動費が相対的に少ないだけに、売上増加が即利益になってしまう。第四は代替品(スポーツ)との競合が強まっていることである。 プロ野球界に欠けるのは国際性である。サッカーはワールドカップを頂点としてさまざまな国際試合が開催され、世界のトップクラスのプレーに接することで顧客(ファン)を獲得し固定客化している。 野球はこの点弱い。米国は両リーグのチャンピオン決定戦をワールドシリーズと称しているほど誇り高い国である。とても日米で覇を競う大会が開催されるとは思えない。 第五は究極的な固定客ビジネスである。価格(入場料)を下げ、強力なブランド品(エース、ホームランバッター)を育てても、既存顧客(ファン)は喜んでもそれが直ちに新規顧客(ファン)獲得に結びつくものではない。 逆に業績が低迷(いつもリーグ下位)しても魅力的な新商品(スター選手)が生まれなくても、他社の商品を買うことはしない(他チームのファンに乗り換えない)。
 このような事業特質をもつプロ野球。顧客(ファン)にとって魅力ある存在にするには基本的にどうあるべきか。第一は健全経営を行うことである。 このことが結果的に顧客(ファン)の信頼を裏切らないことにつながる。利益を創造しないビジネスは長くは続かない。第二は寡占化の弊害を取り除くことである。 参入障壁が高く新規参入のない業界は、供給者論理・強者のエゴがまかり通り短期的には利益は上がるであろう。 ところが世の中には必ず代替品(ここでは他のスポーツ・娯楽)が存在し寡占企業の商品に魅力が不足すれば、需要はそちらに移ってしまう。 第三は顧客満足度を高めるプレーとマナーである。提供するサービスの「品質向上」が顧客を引きつけ固定客化する。
 プロ球団経営は特殊な事業経営ではない。顧客の支持を得るには、顧客ニーズに応え、自球団の優位性を磨き、競合他社との差別化をはかることであり、ヒントになる先例は数多い。
経済長編読物
『公的資金新法で地域金融再編を 証券監視委の人員増強必要
 五味金融庁長官に聞く』(7月14日(水))


 五味広文金融庁長官は13日、時事通信とのインタビューで、公的資金の予防的注入が可能な金融機能強化法に関し、「合併を通じて安定・発展を目指す地域金融機関をサポートする」と述べて積極的な活用を促すなど、 来年4月のペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利子までとする措置)全面解禁に向けた条件整備に努める姿勢を強調した。さらに、相場操縦など問題のある取引を摘発するため、証券取引等監視委員会の人員増強などの必要性を指摘した。
 主なやりとりは次の通り。
 ―金融システムの現状認識は。
 主要銀行の不良債権比率半減に向けた道筋は付いた。2004年3月期で健全性基準を下回る金融機関はなく、現状で金融システム不安はない。
 ―金融機能強化法をどう活用する。
 多くの金融機関は自力で経営できるが、合併を通じてさらなる安定・発展を目指したい地域金融機関をサポートする。現在、具体的な動きがあるわけではない。
 ―来年4月のペイオフ解禁への課題は。
 名寄せに関して顧客データの精度に問題がある金融機関があるため、検査し、必要があれば改善を要求する。預金者への広報にも努める。
 ―UFJグループが複数の業務改善命令を受けた。
 内部管理体制が必ずしも確立していない。新しい経営陣には企業文化を変えてもらいたい。検査忌避で刑事告発するかしないかについては今は言えない。
 ―金融庁の組織拡充は。
 地方財務局を含めて人員的な拡充はまだまだ必要だ。特に、相場操縦などの重大な犯罪行為を取り締まるため、証券監視委を増強しなければならない。

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