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 ※毎週金曜日配信 2002年9月6日 第14号
経済論評
『宇宙から地球をさぐる〜地球観測衛星による環境・災害監視』
菅 雄三 広島工業大学 環境学部 環境情報学科教授(工学博士)


宇宙から地球を探る
 今日、人類は地球規模から地域規模にわたる環境や災害に関する諸問題に直面している。これらの問題に立ち向かうために、各国の宇宙開発機関などは、 「Mission to Planet Earth」のもとに地球環境や災害現象の監視を進めている。そして、地球を観測する「科学の目」である地球観測衛星から膨大かつ 貴重な観測データを獲得している。地球規模で生じている環境変化や災害を監視し、理解し、そしてこれに備えるためにはこれらの地球観測衛星データを 最大限に利用することが必要である。
 人工衛星や航空機等に搭載した観測器(センサー)を使い、地球表面を観測する技術をリモートセンシング (Remote Sensing) と呼んでいる。 地球上の諸物体から反射あるいは放射される電磁波の強さを地球観測衛星等に搭載されたセンサーで幾つかの波長帯に分けて観測すれば、 地球上の森林、農地、市街地、海洋等の分類識別ができるばかりでなく、地球上の物体の表面温度を推定したり、海水、海氷や大気の状態、 災害状況の監視・分析等に利用することができる。

環境・災害監視のための実用化研究
 広島工業大学は、文部科学省から学術フロンティア研究事業の拠点に選定されて、「高度地球環境情報研究センター」を創設し、国内及び海外の大学、 研究機関の協力を得て、精力的に研究事業を展開している。
 本研究プロジェクトは、高精度衛星情報生成研究、画像情報生成研究、画像情報ネットワークシステム研究、陸域・海域環境情報生成研究、 国内および海外共同研究の5つの研究グループから構成されて、基礎的研究ならびに実利用的研究を実施している。研究の特色として、 広島市西区の広島工業大学高等学校に直径13mのアンテナ装置を設備して、地球観測衛星の直接受信処理から環境・ 災害に関するデジタル地図の生成に至る首尾一貫した高精度地球環境情報生成システムの構築に関する研究開発に取り組んでいる。 特に、広島県は、環境・災害問題の縮図的な存在としても位置づけられる。例えば、土石流危険渓流の数は全国でも最多であり、 本研究でも斜面崩壊に対するハザードマッピングシステムの研究を行っている。衛星情報と地形情報を組み合わせ、 崩壊危険度を分かり易いカラー画像地図の形で表現できるものである。従来は、河川・流域単位での分析であったが、 このシステムでは、対象地域全域における面的かつ時間的な変化に対応したハザードマッピングが可能である。
広島工業大学地球観測ステーション  地球観測衛星による観測技術は、その観測性能に基づき、環境や災害に関する監視や分析を可能としている。 大学における研究成果を社会に役立てるための実用化研究が促進されねばならない。私たちのくらしと環境・災害を見守るこの技術の活用法さらには、 「広島からの新しい情報発信ビジネス」を目指して、大学、企業、行政機関が協力して推進できる体制づくりが期待される。

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【プロフィール】 菅 雄三 (すが ゆうぞう)
広島市生まれ
法政大学大学院工学研究科修了
広島工業大学において現職に至る
【学会・委員等】
(社)日本リモートセンシング学会中国四国支部支部長、(社)日本リモートセンシング学会・評議員、米国政府内務省USGS/LANDSAT衛星運営委員会・委員、(社)日本測量協会・評議員、(社)日本測量協会中国支部・常任幹事
【専門】
人工衛星リモートセンシング、地理情報システム、空間情報処理論、環境・防災等社会基盤情報システム、地球環境情報システム
経済長編読物
 『電力の自由化論議が加速 東電不祥事で』(9月4日(水))

 東京電力の原発記録改ざん問題で、電力の自由化論議が加速されるのは避けられない。既存電力の独占体制を崩し、 体質を改善することで情報公開を進める必要があるためだ。
 東電はこれまで、自由化範囲の拡大を自ら提案するなど自由化論議で業界をリード。経済産業省と新規参入会社を相手に 議論を有利に進めてきたが、当面は改ざんを指示した社員の特定や社内処分を含む体制見直しが最優先課題となる。
 電力市場は2000年以降、大口顧客限定で部分的な自由化が実現。さらに自由化を進めるため、昨年秋からは経済産業相の 諮問機関である電気事業分科会で話し合っている。
 焦点の1つは、既存電力の発電部門と送電部門を分離することで新規参入会社が競争しやすい土壌をつくる「発送電分離問題」だ。 既存電力は「分離されれば電力の安定供給に責任が持てなくなる」(電気事業連合会)と訴え、最も恐れていた発送電分離の回避に 成功。資源エネルギー庁首脳も「組織を分離する必要はなく透明性を高めればいい」と述べ、分離問題はヤマを越したかに思われた。
 しかし、臭いものにふたをする巨大電力会社の「腐敗の構図」があらためて浮き彫りとなり、資源エネルギー庁が分離問題を再検討 する可能性は高い。
 焦点の2つ目は「原発投資環境の整備」。自由化が進んで競争が激化すれば、投資回収期間が長い原発のような発電設備への投資が 抑制されかねない。
 このため、エネ庁首脳は「原発への投資を後押しする具体的な施策が必要」と指摘。投資促進策を9月半ばの分科会で明らかにする方針だったが、 分科会では安全性への懸念が次々に表明され、優遇策が議論されない恐れも出てきた。

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