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 ※毎週金曜日配信 2002年9月13日 第15号
経済論評
『かいま見た中欧三都市』
古川 隆 中国地方総合研究センター会長


 早朝6時に広島を出発した私達は、時差の関係で31時間を一日とする8月29日深夜にプラハ空港に降り立った。 翌30日不安にかられた一行の目に映ったのは、瓦礫などの水害の後始末がほぼ終った都市の姿であった。 だが、傷跡は深く、一部信号などにも電力制限は行われ、また、2割程度のビルは機能停止とのことで、 その中には共産主義の時代から一際聳え立っていたインターコンチネンタルホテルも含まれていた。 地下に大量の水が流れ込み、電気設備等が被害を受けたからである。
 しかし、繁華街は災害も失業率8%も感じさせない人々で賑わい、「28日から渡れるようになった」という、 欄干に並ぶ銅像・ランターンでも有名な、カレル橋も優美で逞しい姿を見せていた。
 音楽の街ウイーンでは、7・8月の休み明けのオペラ座でオペレッタ「こうもり」を観る。 高温と人いきれで上着など着用しているのはほんの僅か、演技者は流れる汗をぬぐうのに大変な状況であった。 冷房といえば、日中訪れた外務副大臣の部屋にもなかったが、たまたま大使会議で帰国し同席されていた駐日大使と共に 涼しげな顔付きである。狩猟民族は変化に強いのかなとの思いもよぎる。
 水にしても北欧・カナダを問わず、弱いのは日本人とのこと。戦後の潔癖主義が影を落としているのであろうか。
 ドナウの女王といわれたブダぺストは僅か数センチで大被害を免れ、優雅なたたずまいを示していた。 独ソ戦で多くが破壊された都市とは思えない。ハンガリーの人々の並々ならぬ「熱き想い」を感じずにはいられない。
 これら三都市に共通するものは、美しい街並みだけではない。ハプスブルグ10代の皇帝のルドルフ2世はプラハに住んでいたし、 マリア・テレージアが身重の身でハンガリーの貴族達にプロイセンとのオーストリア継承戦争への協力を取り付けたのはブダぺストである。
 事実上最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ1世の后でスイスで暗殺により生涯を閉じることとなるエリザベートはハンガリーに親しみを感じ、 ハンガリー人も敬愛していたという。今でもブダぺストにかかる橋の一つは「エリザベート橋」である。
 ハプスブルグ帝国は、三つの都市を中核として、異なる民族、言語、宗教、習慣を乗り越えて、20世紀の初めには世界の8大強国の一つであった。 また、19世紀の半ば、ハンガリーの民族主義者ラヨシュ・コシュートはハンガリー・オーストリア・ボヘミア・ルーマニアなどを糾合して 「大ドナウ」連邦の設立を提唱していたといわれている。
 過去、欧米列強により分断され、かき混ぜられた現在の世界に重要なものは「異質のものの共存」である。ハプスブルグ帝国のありようは、 今改めて評価され、研究されるべきものではないかとの思いが浮んだ。
【プロフィール】 古川 隆(ふるかわ たかし)
1955年 神戸大学卒業 中国電力入社
1995年-2001年 中国電力 副社長
1996年-1999年 広島経済同友会 代表幹事
安田大学 客員教授・広島経済大学 特別客員教授
経済長編読物
 『若手社員の発想生かせ 経営計画に取り込む社も』(9月11日(水))

 生き残りは若手社員の発想力で―。20―30代の若手の斬新なアイデアを実際の経営に生かす試みが企業の間で進んでいる。 国際化や情報技術(IT)の進展により企業を取り巻く環境が日々変化し、幹部の発案だけでは企業の存続が難しくなってきたためだ。 新たな意見を経営計画に盛り込んだり、商品開発に活用したりする例もある。
 「保険会社の抱えるリスク(危険)を個人投資家に販売するリスクオークション市場を創設できないか」、 「衛星を活用し保険に加入している自動車を常に管理できないだろうか」。
 三井住友海上火災保険が、昨年10月に若手社員約40人を集めて作ったグループ「未来フォーラム2010」では、こんな提案が飛び交った。 今年3月には経営陣へ経営計画を提出。メンバーの西川隆夫課長(39)は「会社の未来図を大胆に描いた」と満足げだ。 会社は年内に提言を取り入れた経営計画を策定する。
 経営企画担当の内田進常務(55)は「チャレンジする姿勢がいい。長年業界にいれば考えにくい発案も多い」と期待する。
 トヨタ自動車は、若年層向けの商品開発や社内の構造改革に取り組む「VVC(バーチャル・ベンチャー・カンパニー)」 を社内に設立。若い顧客のブランドイメージ向上が目的で、すでに新商品開発などで成果を挙げている。
 仮想役員会≠立ち上げたのは横河電機グループ。30代の6人で構成する「ジュニアボード」では、役員になったつもりで、 定期的に新計画を出す。幹部候補生の育成も狙いだという。
 損害保険ジャパンは今年5月、新入社員から「素晴らしい会社にするために」という社長への提言を募集。 「消費者に目を向けた素朴な発案が多かった」(広報室)と好評だという。
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