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 ※毎週金曜日配信 2005年7月8日 第159号
経済論評
『若者の雇用をめぐる状況の変化』
 吉澤 昌恭 広島経済大学経済学部学部長


1.失業者・フリーター・ニート
 わが国における2003年の完全失業率は、5.3%である。若者の失業率は、これよりはるかに高い。15〜24歳・男の失業率は11.6%であり、同・女の失業率は8.6%である。これに加えて、200万人を超えるフリーター、50万人を超えるニートがいる。
 「フリーター」とは、「フリーのアルバイター」を指す言葉として、1980年代後半に、アルバイト雑誌『フロム・エー』によって、造られ・広められた言葉である、といわれている。それは、当時増えつつあった、学校を卒業しても定職に就かずアルバイトで生計を立てる若者、そして、何らかの目標を実現するために・あるいは組織に縛られない生き方を選んで・正社員になることを拒む若者を指す言葉として、用いられ始めたようである。しかし、今日、「フリーター」には、「正社員になりたいのになれない者」という語感がある。
 他方、ニートとは、学校に行ってもいなければ・仕事もしておらず・職業訓練を受けているわけでもない(Not in Education, Employment or Training)者のことである。つまり、先の英語の頭文字N・E・E・Tをとって、ニート(NEET)というのである。これは、イギリスで用いられていた言葉で、2004年に一種の流行語になった。

2.なぜなのか?
 若者をめぐるこうした状況が発生したのは、なぜなのだろうか?
 今日の若者にはハングリー精神が欠如している、ということがよく言われる。いまどきの若者はなっちゃいない、というわけである。若者が必死にならなくても何とか生きていけるほど、豊かな日本社会が形成されたということ自体はめでたいことである。
 もちろん、ことはそれほど簡単ではない。雇用構造の変化(より具体的には、正規雇用・新卒採用の減少)が今日の若者を苦しめている、重大な要因である。これは、経済のグローバル化がもたらしつつある・海外からの競争激化と、サービス経済化による。従って、若者のみに責めを負わせることはできない。

3.どうすればいいのか?
 個別企業にとっては、非正規雇用の増加はひとつの理想なのかもしれない。非正規雇用にかかるコストは、正規雇用にかかるコストに比べて、はるかに少ない。しかも、非正規雇用なら、自社製品の需要に合わせて柔軟に調整できる。
 しかし、日本全体という視点に立つなら、違った姿が見えてくる。失業者・ニートはいうまでもなく、フリーターも、自らの職業上のスキルを向上させる機会を持てない。つまり、スキルアップの可能性を持たない若者が大量に発生しつつある、ということなのである。これは由々しき問題である。
 筆者は、広島経済大学の学生に、機会があるごとに、「フリーターやニートになってはならない」言っている。そして、仕事を通じての自己実現についても語っている。
 日本全体としては、問題の所在が明らかにされたという段階であり、「どうすべきか」という模索が始められたばかりである。

【プロフィール】 吉澤 昌恭(よしざわ まさやす)
1980年3月 神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了
同  年4月 広島経済大学経済学部講師
1985年4月 広島経済大学経済学部助教授
1991年4月 広島経済大学経済学部教授
2003年4月〜現在 広島経済大学経済学部学部長
経済長編読物
『郵貯銀は融資業務に参入 どうなる郵政3事業』(7月6日(水))

 郵政民営化関連法案によると、日本郵政公社は2007年4月に郵便事業会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社、郵便局(窓口ネットワーク)会社の4つに分割され、約26万人の職員は民間人となる。郵政3事業はどう変わり、利用者の利便性は向上するのか。民営化後の姿をまとめた。

 ▽郵便事業
 封書とはがきなどの「信書」には、全国どこへでも同一料金で配達するユニバーサル(全国一律)サービスが維持される。このため郵便事業会社は不採算を理由に、山間部や離島への配達をやめることはできない。
 民間企業の信書便事業への参入は、ポストの設置基準など条件が厳しいため事実上、郵政公社の独占状態が続いているが、電子メールの普及などで信書の取扱数は減少しており、経営が悪化すれば値上げ圧力が高まる可能性もある。
 「ゆうパック」などの小包事業は民間事業者が同様のサービスを提供していることから、ユニバーサルサービスの対象から外されたが、ヤマト運輸など民間業者との間で、料金値下げや幅広いサービスの提供で激しい競争を強いられそうだ。
 海外進出もできるようになる。郵政公社は既に、提携を視野に複数の国際物流会社と意見交換している。政府は、売り上げの約2割を国際業務が稼ぎ出すと想定しており、経済発展が著しい中国などアジア地域を中心に、国際物流業務を収益の柱に育てる考えだ。

 ▽貯金・保険事業
 郵貯銀と郵便保険会社の株は、持ち株会社が2017年3月末までに全株処分し、完全民営化される。政府による貯金と保険金の支払い保証は、民営化開始前までの契約分については継続するが、07年4月以降の新規契約分からはなくなる。
 貯金の預け入れ限度額と保険の加入限度額は、当面、原則1000万円のまま変わらないが、今後、限度額に関する政令改正に当たっては新会社の意見を十分に聞くとした。
 民営化開始後は、新規分野への参入も段階的に認められる。郵貯銀はシンジケートローン(協調融資)や住宅ローンなど融資業務を検討。政府試算では最終的に、貸し付けなどのリスク業務残高が35兆円に拡大する。郵便保険会社は医療や介護など「第三分野」への進出が有力だ。
 ただ完全民営化後には、持ち株会社による金融2社の株式買い戻しが可能となる。3事業一体経営が続き、民間とのイコールフッティングが成立しないとの批判が高まれば、新分野進出の障害ともなりかねない。
 また過疎地の郵便局で、金融サービスの提供を続けられるかは予断を許さない。金融2社への免許交付条件として、民営化開始時に窓口会社と代理店契約を結ぶことを事実上、義務付けたことや、過疎地で金融サービスを維持するための基金を設けたことを理由に、政府は過疎地でも金融サービス提供は続けられるとしている。しかし、17年4月以降については義務付けておらず、将来を不安視する声は根強い。

 ▽窓口事業
 金融2社と郵便事業会社から委託を受け、郵便局で窓口業務を行う。民営化開始の時点では、グループ会社からの委託手数料以外に大きな収益源がなく、経営が成り立つか疑問視する声もある。このため新規業務として、今年10月から一部の窓口で販売を始める投資信託など金融商品のほか、旅行代理店業やチケット販売、住宅リフォームなど、さまざまな分野を盛り込んだ。政府は郵便局を「コンビニ化」し、幅広いサービス提供で収益を上げる方向だ。
 郵政公社の03年度の損益試算では、全郵便局の9割弱が黒字を確保したが、郵便事業だけでは9割超が赤字で、貯金と保険事業がそれを穴埋めしているのが実態。新規業務の成否が経営を左右しそうだ。
 過疎地では、現行の郵便局網を維持することが総務省令に盛り込まれた。一方、都市部に関しては「国民の利便性に十分配慮する」と国会答弁しただけで、営業地域が重なる地域などでは統廃合される可能性が高い。

 ▽職員
 05年3月末時点で約26万人いる郵政公社の職員は民間人になる。公社は07年3月末までに、職員数を約1万人減らす人員削減計画を打ち出している。公務員の仕事と規定されてきた裁判文書の特別送達や、内容証明郵便などを扱う職員は、新たな公的資格「郵便認証司」を創設し、利用者が被った損害は国が賠償責任を負う。
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