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 ※毎週金曜日配信 2002年9月27日 第17号
経済論評
『期待されるフィルムコミッションの活動』
弓場隆宏 ひろぎん経済研究所 副主任研究員


 今年度中にも、広島市にフィルムコミッションが設立される予定である。このフィルムコミッションという言葉、 聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれないが、簡単にいえば、地域に映画やテレビのロケーション撮影を誘致し、 そのロケがスムーズに進行できるように総合的に支援する非営利機関である。具体的には、地域内のロケに適した場所の写真集や プロモーションビデオなどを駆使して映画会社やテレビ局に対するセールス活動を行い、めでたくロケが実現した際には、 警察や消防など関連機関への許可申請(交通の遮断や火気を伴う撮影などの場合に必要)や地元への協力要請 (エキストラの招集や建物の一時的な借用等)など様々な支援を行う。当然のことながら、こうした機関が効果的に活動している地域は、 映画・テレビドラマ・CM撮影のロケ地として採用されやすい。
 このフィルムコミッションは、2000年以降、各地で続々と設立されている。東京都・大阪市・名古屋市・神戸市などの主要都市をはじめ、 中国地方では松江市・下関市・萩市などで、既にロケ誘致の実績も残している。今年は、全国で20団体以上が新たに発足する予定である。
 これほど多くの自治体でフィルムコミッションの設立が進められる大きな理由として、ロケの誘致による地域活性化への期待がある。 例えば、大林宣彦監督の一連の映画作品の舞台となった尾道市やテレビドラマ「北の国から」のロケが行われた富良野市では、 作品の大ヒットによって全国的な知名度が向上し、観光客の底上げにつながった。そのほか、ロケ隊が地元に支払う宿泊費や飲食費などの直接的な経済効果や、 住民が製作者と交流したり地域資源を再認識するという地域文化への好影響も無視できない。また、財政難がいわれるなか、 比較的費用がかからない点も自治体にとって好都合なのだろう。
 ここで、映画・ドラマの舞台としての広島市を考えてみると、世界的な知名度の高さ・瀬戸内の風景の美しさなど、世界に通用するコンテンツを有しており、 有力な作品を誘致できる条件は揃っているのではないだろうか。ただ、今回のフィルムコミッション設立を、各地横並びで共倒れに終わったこれまでのような地域活性化策に終わらせないためにも、 その活動に対する住民の理解を深め、ロケ撮影に対する全面的な支援を求める地道な活動が欠かせない。また、対象を広島市だけに限定せず、 魅力的な風景のある山間部や島嶼部の自治体と連携を図ることも必要であろう。県境を超えた連携も検討の余地があり、 実際、「日本ラインフィルムコミッション連絡協議会」には愛知・岐阜両県の市が参加している。
 こうした地域の協力に加え、映画会社などへの積極的かつ息の長いセールス活動により広島市の評判を高めていければ、 将来的には広島市周辺が世界的なメジャー映画の舞台となり、世界中から観光客の集まる一大観光スポットとなることも夢ではないのではなかろうか。

経済長編読物
 『日本の政策へ信頼低下 G7の焦点〜榊原前財務官に聞く』
 (9月25日(水))


 ワシントンで27日に開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の焦点や国際経済情勢、株価動向を前財務官の榊原英資慶応大教授(前財務官)に聞いた。
 ―世界経済の現状とG7の注目点は。
 「米国はマクロ経済面では依然として順調で、日欧も弱いながら回復中だ。相当な不安要因を抱えているが、会議では世界経済は回復基調との見方を続けるだろう。 焦点は中南米で、アルゼンチンやウルグアイは経済が事実上、崩壊状況にある。ブラジルに対しては徹底的に支援するというメッセージを出すだろう」
 ―中南米以外の不安要因は。
 「日本の不良債権処理の遅れや米国株価の下振れ懸念、ドイツ経済の弱さなど日米欧ともに不安を抱えているが、こうした議論はあまり好まれないだろう。 米国によるイラク攻撃の可能性は依然高い。その場合はドル安や米財政赤字の拡大、原油価格上昇などのリスクがあり、世界的な不況に結び付く可能性がかなり高い」
 ―日本に対する世界の評価は。
 「株の下落を受け、株価維持策や減税を持ち出すのが年中行事となっており、日本の政策に対する信頼性が著しく低下している。世界は不良債権処理などの構造改革を求めているが、 小泉政権下でも十分に進んではいない」
 ―世界的な株安が止まらないが。
 「技術革新による供給側のコスト低下などから21世紀は構造的なデフレの時代となり、加えて日本を除く米、欧、アジアの各地でバブルの崩壊が進行中だ。 米国の企業会計不信に端を発した世界的な先行き不透明感を背景に投資家のリスク許容度が低下し、資金が株から債券へシフトしている」
 ―株安に有効な対策は。
 「世界的なデフレ下での株価の上昇トレンドはもはや期待できない。小手先の株価維持策は市場の活力をかえって損なう。日銀の銀行保有株式の買い取りはオーソドックスな政策ではないが、 これを受けて銀行や金融庁が断固たる不良債権処理と、借り手企業の整理を進めれば意味のある政策となりうる」

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