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 ※毎週金曜日配信 2005年11月25日 第179号
経済論評
『人口減少下でより豊かになる中国地方を目指して』
 本郷 満 社団法人中国地方総合研究センター地域経済研究部長


 今年は、5年ごとに行われる国勢調査の調査年に当たり、先月、全国一斉に調査が実施された。今回の国勢調査の結果は、12月末に速報値が公表されるが、我が国の人口減少への転換時点を見極め、中国地方における人口減少傾向を確認する上で大いに注目される。とはいえ、中国地方においては、2002年に自然増から自然減へと転換していることに加えて、1990年代後半以降は社会減も拡大していることから、今回も人口減となることは間違いない。さらに、長期的には、団塊世代が高齢化し、団塊ジュニア以降の少子化世代が出産年齢人口を迎えることから、人口減少の加速化は避けられそうもない。
 しかし、中国地方にとって、“人口の減少”は悲観すべきことかどうかを考えてみる必要があろう。確かに、人口の減少は、消費市場の縮小や労働力人口の減少を招くため、総生産に示される経済規模の縮小につながることも懸念される。しかし、人口の減少とそれに伴う経済規模の縮小は、生活の豊かさの低下に直結するものではないし、そもそも、中国地方は、狭い国土に過大な人口を抱える過密社会であるという側面もある。
 欧州先進国との比較でみると、可住地面積1km2当たりの人口密度は、欧州最高であるオランダに比べて、中国地方はその1.7倍もの水準にあり、狭い土地に人口が密集していることは明らかである。こうした中で、人口減に伴う人口密度の低下は、開発基調から景観・環境を含む質的充実を目指した国土形成への転換を促進することとなり、環境と調和した潤いのある地域社会を形成する上で、好ましい状況をもたらすのではなかろうか。
 また、生活の豊かさを1人当たりの総生産でみるならば、中国地方は欧州先進国の中でもトップクラスにあり、中国地方よりも豊かなのはノルウェー、スイス、デンマーク、アイルランドの4カ国に過ぎない。そしてこれら4カ国は、いずれも中国地方より人口は少なく、中国地方において、人口が減少していく中でも生活の豊かさを高めることが十分に可能であることを示唆している。
 特に、4カ国の中で唯一中国地方を上回る経済規模にあるスイスが、今後の中国地方の姿として目標とすべき国ではなかろうか。スイスは、西欧中央地域の大国に囲まれた中規模国だが、時計、医薬、金融、観光等の競争力ある産業を有し、これを支えるグローバル企業も多い。また、ジュネーブ等の国際都市を擁し、アルプスや6つの世界遺産など観光資源にも恵まれている。中国地方は、地政的な位置だけでなく、産業・技術力、グローバル企業、国際的知名度が高い都市、瀬戸内海と3つの世界遺産など、我が国の地方の中では、豊かな中規模国であるスイスに最も近い存在である。中国地方は、スイスを目標に果敢にチャレンジすることで、人口は減少しようとも、世界トップレベルにある豊かさをさらに高めることが十分に可能であることに自信を深めてよいのではないだろうか。

【プロフィール】 本郷 満(ほんごう みつる)
1983年 立命館大学文学部卒業
民間調査研究機関を経て
1991年 社団法人中国地方総合研究センター入所
2002年から地域経済研究部長
2004年から広島経済大学非常勤講師
経済長編読物
『金融機関など和解模索』(11月23日(水))

 楽天がTBSに経営統合を迫っている問題で、TBSが楽天の統合案に対する最終回答を示す今月30日を目前に控え、水面下で両者が和解するよう模索する動きが活発化している。TBS幹部は23日までに、みずほフィナンシャルグループなど金融機関と個人を含めて3、4者が、TBSと楽天の和解の仲介役に名乗りを上げていることを明らかにした。
 関係者によると、みずほフィナンシャルグループは数週間前に、楽天が統合提案を取り下げる代わりに、TBSは楽天が株式の15―20%程度を継続保有することを容認した上で役員を受け入れるか、20%をわずかに上回る程度の株を持たせて、楽天の持ち分法適用会社になることを認める―との妥協案を提示したという。
 ただ、これまでのところ、TBSは統合提案の撤回と株式保有の白紙撤回は譲れない、との考えを崩していない。一方、楽天もTBSが統合提案を拒否した場合には、株式の買い増しや公開買い付け(TOB)など強硬手段に出る可能性を示唆しており、仲介者の妥協案とは隔たりが大きい。
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