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 ※毎週金曜日配信 2006年2月10日 第189号
経済論評
『投資における「安全性」ということ』
 藤谷 則夫 財団法人 ひろぎん経済研究所 経済調査部部長


 昨年は、JR尼崎事故の発生や鳥インフルエンザ問題、マンション耐震強度の偽造問題、女児殺害事件の発生、医療過誤の多発等、「食」や「住」、「健康」、「治安」といった我々の生活における『安全』が大きく脅かされた年であった。
 金融に関しても、東証のシステムトラブルやみずほ証券の誤入力事件など『リスク管理』が不十分な事例が見られた。安全管理やリスク管理は一体どうなってしまったのだろうか?
 投資の世界をみてみると、日経平均株価が好調に推移しているせいからか、書店には、「私はこうして○○万円儲けた」「毎月△△万円稼ぐ方法」など株式投資に関する本がずらりと並ぶ盛況ぶりである。しかし、これらの本で、「投資行為の安全確保」について書かれているものは数少ない。命の次に大事なお金を扱うには物足りないと言えよう。
 株式投資は、1,000万円未満の円貨預金のように保護されたものとは違うのは当然であるが、リスクテイクしたから安全性を無視してよいと言うことにはならない。『リスク管理』という基本原則は、「食」「住」などと全く変わらないはずである。
 博打(ばくち)においてさえ、一番大事なのは勝負する「資金力」である。資金が底をついたらおしまいなのだ。つまり、元手を失わないというのは、消極的ではあるが、最優先しなければならない事項といえる。世の中には、振り込め詐欺や悪徳商法が横行している。これを避けることだって立派な「資金の安全管理」である。知らないことには手を出さない、怪しい業界には踏み入れないという自己ルールを設定するだけで安全性はずっと高まるのである。
 また、実際の売買においても、現代ポートフォリオ理論を持ち出すまでもなく、「資金余力」、「分散投資」、「分割売買」、「損切り」、「資金管理」といった手法を実行することで、元本を失うリスクを回避できるのである。リスクを取れば取るほどこうした手法やリスク管理が重要になってくる。
 「資金余力」とは、投資可能な資金を全額投資するのでなく、2割〜3割の余裕資金を残しておくということである。これは、相場が下がった時の追撃資金ともなるし、何より精神的負担が軽い。余裕資金があっても全体の利益率は意外と低下しないのである。「分散投資」は1つの銘柄に集中させないでリスク分散を図る手法、「分割売買」は一度に全部買わないで、何回かに分割して買うことで、買値の平均値を下げる手法である。「損切り」は、一定の含み損になった場合に強制的に売買を終了(手仕舞い)し、損失を限定する手法である。
 「資金管理」は、これらの手法の中でも最も大事な項目である。自分のお金をいくら投資し、どのような成果になり、余裕資金はどの位あるのか分かっているのと、丼勘定で資金残高がいくらになっているのかさえ分からないのでは、成果面でもリスク管理面でも雲泥の差がある。
 リスクとリターンは、トレードオフ(二律背反)の関係にある。高いリターンには高いリスクが伴う。ローリスク・ハイリターンはないと考えるべきである。となれば、自分はどの程度のリスクをとってどの程度の成果を得るのかよく吟味する必要があろう。そして、リスク・リターンの程度が決まれば、リスク管理の仕方も決まってくる。ハイリスクなものほど、厳しく、慎重に対処していかなくてはいけない。
 マネーの世界も『安全性の確保=リスク管理の重要性』の例外ではないのである。
経済長編読物
『鉄鋼3社労組、2年で3000円賃上げ要求』(2月8日(水))

 新日本製鉄労働組合連合会など鉄鋼大手3社の労組は7日、それぞれ中央委員会を開き、今春闘の活動方針を決めた。2年間で1人当たり月額3000円の賃上げを要求。JFEスチール労連は職場の技術伝承などを重視し、要求分の8割をベテラン層を中心に配分するよう求める。前日に決定した神戸製鋼所労組と同様、10日に経営側に要求書を提出する。
 各社の賃上げ要求は、日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)の方針に沿った内容で、2000年以来、6年ぶりの要求となる。4労組は会社の厳しい経営を考慮して賃上げを要求してこなかったが、今後、会社が国際競争力を保つには、賃金の引き上げにより従業員を確保することが必要と判断。景気回復による好調な業績を背景に、賃上げを求めることにした。
 一時金については、住友金属労連が昨年の要望額より50万円多い240万円を求める。新日鉄など3社は業績連動方式を採用しているため、会社の利益に応じて自動的に算出される。
 基幹労連の06年の方針では、要求する賃上げの配分はかつてのように従業員一律のベースアップ(ベア)にこだわらず、各労組に委ねられている。
 JFE労連は3000円のうち、職務遂行能力で決まる職能給が56歳以降も減額しないよう求め、その原資として1700円要求。さらに職能給の上限を拡大するよう700円求め、ベテラン層への配分充実を訴える。
経済サロン 藤井泰夫のビジネス談話室
『山口銀と経営統合、互いのメリット生かす』
    もみじ銀行頭取  森本 弘道氏(上)
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