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 ※毎週金曜日配信 2002年10月11日 第19号
経済論評
『ワークシェアリングとその意義』
森山 玲子 広島経済大学経済学部講師


 広島県の雇用情勢は、依然厳しい状況にある。平成14年8月の有効求人数は38,881人、有効求職者数は61,428人で、有効求人倍率 (季節調整値)は0.65倍と前月を下回った。また、県内のパートタイムの有効求人倍率は0.98倍(原数値)となった。ちなみに、 同月の全国の有効求人倍率は0.54倍、パートタイムの有効求人倍率は1.30倍であった。
 経済状況の低迷が続く中、深刻化する失業問題に対し、労働時間の短縮(それにともなう給与の削減)によって働く機会を維持・ 創出するための施策として、ワークシェアリングが注目されている。
 ワークシェアリングは、(1)緊急避難型、(2)雇用創出型、(3)多様就業対応型の大きく3つに分けられる。(1)は景気悪化により緊急避難的な措置として、 労働時間を短縮し、社内での雇用を維持するタイプで、フォルクスワーゲン社の例が有名である。(2)はフランスにみられるように、 国または企業単位で法定・所定の労働時間を短縮し、新たな雇用機会の創出を目指すタイプ。(3)は正規社員の短時間勤務の導入やパートタイマーの活用など、 就労形態を多様化し、女性や高齢者などより多くの労働者に雇用機会を与えることを意図するもので、オランダモデルと位置付けられる。 このタイプにおいては、働き方の多様化が労働者の選択肢の拡大をもたらし、仕事と家庭・余暇の両立などライフスタイルの見直しを可能とする点にも大きな意義があるだろう。
 当面は緊急避難措置として、企業においては労使の話し合いのもとで、労働時間短縮による雇用維持と人件費の削減が講じられる必要があるが、 より中長期的にワークシェアリングの導入を進めるためには、「同一労働同一賃金」の原則にもとづく時間当たり賃金の検討が行われなければ、 多様就業対応型のワークシェアリングの実現は困難と考えられる。
 多様就業対応型ワークシェアリングの推進において、課題は多くそして大きい。 正規雇用者とパートタイマーを代表とする非正規の雇用者の扱われ方に大きな差があるわが国においては、この区分けを撤廃することが求められる。 また言うまでもなく、新たな評価・処遇システムの構築から税・社会保障制度の見直しまで、難問揃いである。そして何よりも重要な点として、 ワークシェアリングの導入にあたっては、社会の連帯・共同意識にもとづく合意形成なければ実現は難しいのである。

【プロフィール】 森山 玲子(もりやま れいこ)
1999年3月 神戸大学大学院経済学研究科単位取得退学
同  年4月〜現在 広島経済大学経済学部講師
2001年10月〜現在 中国生産性本部ワークシェアリング検討委員会委員
経済長編読物
 『地場金融おおむね評価 ペイオフ解禁延期』(10月9日(水))

 ペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)全面解禁を政府が2005年4月まで2年間延期したのに対し、 地場金融機関はおおむね「適切」と評価している。株価がバブル後最安値を記録するなど、業界を取り巻く環境は厳しさを加えており、景気、デフレ対策を要望する声も多い。
 延期支持の理由について、中国銀行(岡山市)は「金融システムが安定したうえで、解禁すべきだ」。もみじホールディングス (広島市中区)は「システム変更や顧客への対応など準備が必要」と説明。広島信用金庫(中区)は「預金の不安定な動きに歯止めがかかる」と説明している。
 広島市信用組合(中区)は「中小零細企業へ資金を安定供給するため、2年に限定せず景気の回復後に実施するべき」。 山陰合同銀行(松江市)も「延期した2年間で、デフレ対策を早期に打ち出してほしい」と求める。
 第1四半期(4―6月)の経営情報を開示した地場8行の金融再生法に基づく不良債権総額は8082億9900万円で、今年3月末に比べ6.63%増えた。
 加えて、山口銀行(下関市)や広島総合銀行(中区)、せとうち銀行(呉市)が不良債権の前倒し処理で9月中間決算の業績予想を赤字修正。全体の不良債権総額はさらに増える見込みだ。
 西京銀行(徳山市)は「不良債権の予備軍が顕現化しており、景気好転なくして完全処理はない」と強調する。広島銀行は「処理の終結は、景気が上向くかどうかにかかっている」とみる。
 広島信金は「大手行の処理加速で、地域の中小企業へ影響が心配」。広島市信組は「不良債権処理を急ぐあまり、さらなるデフレや不況の長期化を招いてはならない」と危ぐする。
 一方、株価低迷が続けば、株式の減損処理を義務づける時価会計の導入で、自己資本比率など金融機関の財務内容の悪化も懸念される。
 ただ、現状では広島、中国、山陰合同、西京などは「影響は少ない」。広島信金、広島市信組も「もともと運用に占める割合が低い」と冷静に受け止める。
 広島総合、せとうち両行は9月中間期で30%以上下落した全銘柄を減損処理する予定。両行は「財務面に与える影響は軽微。 消費マインドや企業の財務体力が落ち込み、地元経済が沈滞するのが心配」としている。

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