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 ※毎週金曜日配信 2002年6月14日 第2号
経済論評
『広島地域の経済活性化と都市づくり』
戸田 常一 広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター長


はじめに:広島の地域経済はどこに向かおうとしているのか?
 広島市は「国際平和文化都市」として、国際的な平和貢献を果たしつつも、市民のため住み良い街づくりに努められてきた。しか し、広島という都市は、工業都市、商業都市、行政都市といった異なった顔を併せ持っており、それらが混交して広島のイメージが形 づくられていることも事実である。自動車や関連部品の工業集積、100万という一定規模の人口集積を背景とした商業・サービス業の 立地、そして既往の国や県行政の枠組みのもとでの中枢管理機能の集中という3つの条件がバランスよくそろっており、これまでは狭 い空間範囲ながら都市の活力維持のための条件に大変恵まれてきた。しかし、現在、これら3つの屋台柱が同時に変化しつつあり、そ のもとで広島は今、どのような方向に向かおうとしているのだろうか。ここでは、都市づくりと産業づくりという面からこの点につい て考えてみたい。

(1) 住みやすく持続可能な都市づくり
広島市内空撮  都市においてのもっとも重要な要件は、そこに「多くの人々が訪れ、かつ多くの人が住みつく」ことである。地元の住民が快適に住 み、外から訪れた人が住んでみたいと思うような都市に多くの人が訪れるものである。この面で、日常生活圏の広がりでのいかに魅力的 で安全、かつ住みやすい都市をつくるかが重要となる。最近では、住みやすい都市に優良な企業、特に先端的な技術・サービスをもつ 企業が集まる状況にある。住みやすさの中には、居住条件だけでなく、教育、健康・福祉・医療、芸術・文化等の諸条件の整備も含ま れる。この点で広島は本来持っている素晴らしい地勢や地域資源、歴史文化を十分に生かしきれているだろうか。海、川、山に囲まれた 平野である広島を、紙屋町・八丁堀の都心機能を強化しつつ、郊外に拡散した都市ではなく、鉄道や路面電車を基盤としたコンパクトな 都市、持続可能な都市に再整備して行くことが望まれる。デルタ市街地の都市再生や広島湾のウオーターフロント整備はこれからの 重要課題となるだろう。

(2) 中枢性と広域性は都市活性化の両輪
クレドビル  地域経済の活性化を考えるうえで、「都市が成立する意味」を別の角度から考えよう。都市の成立の根底のひとつに、ヒトやモノ、 情報が集まり、協同や交換・交流・伝達が行われる場としての意味がある。 その場合、ヒトを引きつける魅力(中枢性)と、交通利便性などヒトの集まり易さ(広域性)は車の両輪に例えられるものである。 中枢機能の整備方向と広域的な集客の範囲の取り方の調整が大事 である。紙屋町・八丁堀地区と広島駅周辺地区を含めた広島都心整備のあり方や、スポーツやコンベンションを目的とした集客施設の 整備方向についてもこの視点を抜きにして議論はできない。

(3) 国内・国外を見据えた都市づくり
広島空港  このことから、広島が向かうべきもうひとつの方向は国内・国外を広く視野に置いた都市づくりと言える。「脱工業化」のもとで高 次な都市機能を保持し、グローバルかつ広域的な視野をもった企業展開の拠点となりうる条件整備が必要である。そのためには、もの づくり技術の高度化とソフト化や新たな起業化の促進に努め、「高度知識・技術集積都市」としての情報発信と条件整備が重要であ る。この面で、特に、国内広域交通の拠点となる広島駅周辺整備と、広島市と東広島市、さらには広島空港との連絡機能の強化は緊急 の課題である。

(4) 広島県における産業拠点構想の検討
 広島県の行政においては2つの重点課題が指摘されている。『産業』と『教育』である。そして、前者の『産業』に関して重点的な 検討のために平成12年6月に「21ひろしま国際産業拠点構想策定会議」(委員長 茂里一絃教授、広島大学高等教育研究開発センター 長)が発足し、その最終報告が平成13年11月にまとめられた。同委員会は産官学の各分野から17名の委員で構成されており、委員会に おいての検討資料を準備するためにワーキング部会が設けられた。同部会の部会長にはCRESのセンター長が任命され、10人の部会メン バーのうち半分はCRESの研究員・客員研究員が務めた。約1年半の期間に委員会が6回、ワーキング部会が17回開催され、非常にイン テンシブな検討が行われた。(ここで、CRESとは、筆者がセンター長を務める広島大学経済学部附属地域経済システム研究センターの略称であ り、同センターの詳細については、次のホームページを参照いただきたい。  http://www-cres.senda.hiroshima-u.ac.jp/ )

(5) 自治体と大学共同によるサテライトキャンパスの設置提案
 この構想の中においては、国際競争力を有する産業の創出と育成のために、環境・福祉・自動車の関連分野で産業コンプレックスを 形成することによって既存産業の高度化をはかるとともに、創業及び新産業創出の支援を行うこと、そのためにIT化と産学官の連携 を推進することが示されている。また、これらを実現して行くために、都市中心部においてIT関連産業や高次サービス業の集積を図 ること、具体的には、複数の大学による共同サテライト・キャンパスを広島駅や紙屋町・八丁堀周辺などの交通至便な場所につくり、 ここを核とした大学と産業界との交流促進を提案していることが特筆に値する。

(6) 強化が望まれる広島県と広島市の協力体制
 これまで広島県の行政においては、広島市以外においての施策展開が中心であったが、上記のIT・高次サービスの機能集積の提案 はこの方向を大きく転換している。提案される機能集積地区は、広島市内の立地至便なところを意味するものと解釈できる。このよう な提案が広島県が設けた策定会議から提案されたと言うことは、広島広域都市圏の一体的な整備を目途に、広島県と広島市が実質的な 協力関係を実現すべく、大きく歩み始めたものと解釈したい。
 上記構想の詳細は、次の広島県ホームページ(http://www.pref.hiroshima.jp/jouhou.html) に掲載されている。是非ともアクセスされることを勧めたい。

おわりに
 時代の潮流変化の速さは我々に休息する暇を与えてくれない。変化に機敏に対応することが求められる。しかし、住民の合意もな く、拙速に走ることは危険であり、そうすればかえって解決を遅らせてしまうことになる。如何に迅速に地域社会の中で合意を形成 し、変化に対して機敏に対応できるかが、これからの地域経営や都市づくり、産業づくりにとって重要な要件となる。このためには、 地域社会の構成員が、常に情報を共有し、絶えず意見交換できる機会をつくることが重要であり、この面からこの度の週刊メールマガ ジン開設の意義は少なくない。CRESとして、これからも積極的に参加してゆきたい。


戸田 常一(とだ つねかず) 
広島大学経済学部教授
広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター長
専攻 地域政策論
経済長編読物
 『口座費取りサービス充実 銀行の競争激化』(6月12日(水))

 現金自動預払機(ATM)の時間外手数料などを優遇する代わりに、残高が少なければ、口座維持手数料を徴収する預金口座の利用が増えている。預金者が低金利でATM手数料などに負担を感じていることが背景にあり、顧客囲い込みを狙った銀行間のサービス競争が激化している。
 邦銀は、口座維持手数料について、少額預金者の反発を恐れて長く導入に消極的だった。しかし「一口座当たり年間数千円」(関係者)の管理コストが必要とされ、維持手数料の導入は、使われずコストに見合わない口座を減らすことにもつながる。
 旧三和銀行(現UFJ銀行)が1999年に取り扱いを開始した「オールワン普通預金」は、預金など顧客からの預かり資産残高が少ないと、月間630円か315円の手数料がかかる。しかし給与振り込みなどの取引をしていて残高が10万円以上あれば、ATMの時間外利用、振込手数料を優遇する。5月末現在で約122万口座を獲得した。
 また昨年1月に東京三菱銀行が始めた「スーパー普通預金」は残高10万円未満なら月間手数料が315円かかるが、残高が増えるに従ってATMの手数料をゼロにしたり、住宅ローンの金利を優遇。4月末で100万口座を超え、「新サービスでは異例の実績」(広報室)という。
 一方、みずほ銀行は月間手数料367円を徴収する代わりに、ホテルの宿泊料割引などに優遇を広げた会費制のサービスを提供しており、約86万人が利用している。
会員からの情報 メディアクラブ会員だより
PDA(携帯情報通信端末)6月10日発売(日立製作所)
人事・訃報 6月7日(金)〜6月13日(木)
中国新聞掲載分
人事(6月7日(金)〜6月13日(木)・中国新聞掲載分)

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