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 ※毎週金曜日配信 2002年11月8日 第23号
経済論評
『広島大学経済学部附属地域経済システム研究センターに着任して』
 伊藤 敏安 広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター教授


 私は、このほど中国総研(社団法人中国地方総合研究センター)を退職し、11 月1日付で広島大学経済学部附属地域経済システム研究センターに着任した。  同センターの前身である地域経済研究センターが開設されたのは、私が広島に 来た1989年の春である。中国総研に就職して早々、「広島大学にセンターができ るので、中国総研は連携を取らなくてはならない」と聞かされたことがある。そ のころはセンターのことも初代センター長である櫟本功先生のこともまったく知 らなかった。
 旧センターが発足してまもなく、広島県から中国総研への委託調査の一環とし て、センターのスタッフ、研究員、客員研究員の人たちと現在のしまなみ海道沿 線の実地調査に出かけた。これがセンターとのかかわりの始まりであった。その 年の暮れになって、今度は中国総研の名称変更の話が持ち上がった。当時は中国 地方総合調査会(中総)といったが、「広島大学にセンターができたので中総も センターにしよう」ということで、翌年に改称した。同じころ中国電力(株)経済研 究所も経済研究センターという名称に変わった。
 その後、旧センター・現センターを通じて直接・間接のかかわりが続いてい る。1995年には初代センター長の櫟本功先生が中国総研の理事長に就任された。 このほど私がセンターに赴任することになったのも何か因縁のようなものを感じ る。
 とはいえ、就任してまだ1週間。現センター長の戸田常一先生から「センター をどうしたいかビジョンを描くように」といわれても、なかなか浮かんでこな い。それどころか、転出前には大学とシンクタンクとの距離はさほど大きくない と思っていたものの、いろんな面での差異を感じている。まだ慣れない。  にもかかわらず、「広島大学リエゾンフェア」(11月20日)、センターや地域 シンクタンクなどとの共同開催による「研究集会」(12月4〜5日)などが目前 に迫っている。広島大学が地域からの提案をうけて実施する「地域貢献研究プロ ジェクト」も本格的に動き出す。とにかく走りながら考えるしかない。
 私は就任に際して、国内外の専門誌への論文発表を活発にするとともに、学位 取得に努めることが求められた。教育と研究とは大学の研究者として当然のこと である。もうひとつ私に課せられているのは、これまでの経験を生かして、地域 政策・地域経済分野における産学官連携や地域協力活動の窓口となることだと思 う。独立行政法人化を控えて広島大学そのものが大きく変わろうとしているなか で、地域経済システム研究センターにも新しい役割が求められている。そういう 変化の一翼を担っていくことに具体的に貢献していきたいと思う。

【プロフィール】 伊藤 敏安(いとう としやす)
同志社大学卒業、関西学院大学大学院修士課程修了。
社団法人中国地方総合研究センター地域経済研究部長、
広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻客員教授
などを経て2002年11月から現職。
経済長編読物
 『英製造業低迷で戦略見直し 自動車各社』(11月6日(水))

 日本などから英国に進出した自動車メーカーなどの間で、製造業の地盤沈下を懸念する声が高まっている。 欧州単一通貨ユーロに対するポンド高で、英国工場の輸出採算が悪化。さらに賃金上昇や労働生産性の悪化なども指摘されており、 各メーカーは欧州戦略の見直しを迫られている。
 日本から派遣されたエンジニアが、部品製造や品質管理のノウハウを生産現場で直接伝える日英協力プロジェクトが 今月で終了することも進出企業の不安に拍車を掛けている。
 プロジェクトは部品産業の育成を目的に日英の自動車業界団体が中心となり1996年に始まったが、「英国内の弟子も育ってきた」 (日本自動車工業会)との判断から、トヨタ自動車やホンダなどのエンジニアが帰国することになった。

 英政府は「日本のエンジニアがもたらした技術や知識は、製造業の生産性と競争力向上に生かされる」 (ジョンソン雇用・産業閣外相)と成果を強調。ただ、日本のエンジニアは「全体的な技術力の底上げ」 を認めながらも、指導が行き渡らず、改善が十分でなかったことを認める。
 英イングランド銀行によると、製造業の就業者の賃金は2001年に3.3%上昇したが、生産性は0.9%しか伸びなかった。 ポンドがユーロに対して高止まりしているため輸出採算が悪化、国際競争が激化する中で投資意欲が減退し、 収益が落ちるという悪循環に陥っているという。
 10月下旬に英中部バーミンガムで開かれたモーターショーで、米フォード・モーターのシーレ最高執行責任者は 「英国がこのままユーロ圏外にいると、欧州大陸のライバルメーカーに太刀打ちできない」とユーロ参加を強く促した。

 これに対しジョンソン閣外相は「経済条件を判断した上で参加を決めるのが英政府の立場」と公式見解を繰り返した。 ブレア首相は来年中にユーロ参加を問う国民投票を実施したい意向だが、世論は真っ二つに割れたままだ。
 米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のボクソール社は、ポンド高による採算悪化を理由に今年3月に ロンドン北部の工場を閉鎖した。日系自動車メーカー幹部は「政府も現場の労働者も英国の製造業をどうするのか、 真剣に考えるべきだ」と警告している。(バーミンガム共同=今藤悟)

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