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 ※毎週金曜日配信 2002年11月15日 第24号
経済論評
『マツダにみる地元製造業の活性化策』
 遠山 文雄 ひろぎん経済研究所 副主任研究員


 今年、マツダが発売した「アテンザ」と「デミオ」がヒットしており、来年発表されるロータリーエンジンを搭載したスポーツカーの 「RX−8」も、ヒットになることが期待されている。このように注目を集めているマツダは、地元製造業の今後の方向性を考える上でも、 大いに参考になると思われる。
 第一に、熟練技能の蓄積と高度化に取り組んでいることである。例えば、アテンザに採用された新型アルミエンジンを生産する工場では、 高温に熱して溶かしたアルミを鋳型に流し込むノウハウなどが開発された。このような技術的なハードルをクリアするためには、 試行錯誤しながら自らの手で解決策を見出だす“熟練の技”が不可欠である。マツダがフォードグループにおける大型の直列4気筒エンジン 開発のグローバルセンターオブエクセレンスに選ばれた理由も、そこにあると思われる。  同社は、毎年のように厚生労働大臣認定の「現代の名工」や技能五輪の国内優勝者を輩出しており、96年には社内に熟練技能の “伝承道場”を設置している。
 第二に、IT化に積極的に取り組んでいることである。マツダは、新型車の走行・衝突テスト、工場でのトラブル発生の可能性、 などをコンピューター上で事前にシミュレーションするバーチャル・ファクトリー技術を、トヨタや日産に先んじて導入した。この技術は、 粘土モデルや試作品をつくる手間を省略し、開発期間とコストの削減に役立つものである。  第三に、世界トップクラスの多品種混流生産の技術を保有していることである。宇品にある新型エンジンの工場は、1つのラインで 10種類のエンジンを生産できる。また、防府工場は、公称では「12車種」とされているが、実際には「何種類でも生産できる」 とのことである。両工場とも、混流生産できる機種・車種数が世界最多とみられている。この技術は、多様な消費者ニーズに柔軟に 対応する上で、極めて重要なものとなっている。
 このように、熟練技能を先端技術でフル活用しながら、多様なニーズに対応できる生産体制を構築し、特色のある製品をローコストで つくることができれば、地元製造業の海外シフトを最小限にとどめ、アジア諸国との競合を緩和できると思われる。
 広島県には、熟練技能が数多く蓄積されている。例えば、フォードが10年間かけても開発できなかったプレス技術を3カ月で完成させた 企業、世界で最も精度の高い放電加工技術を確立した企業、極めて硬い金属を独自の工法で精密鋳造する企業などがある。
また、バーチャル・ファクトリー技術は、マツダとその協力部品メーカーだけでなく、中国や韓国と激しい競争を展開している 造船業界などにも普及しはじめている。例えば、石川島播磨重工業は、呉工場で部品や舶用機械をコンピューター画面に表示できるように デジタルデータ化する作業を行い、横浜工場で建造作業に採用する模様である。さらに、99年に当研究所が実施した調査では、 県内大学・工業技術センターの研究テーマとしては、「設計システム」に関するものが13件で最も多くみられた。
 今後、業種・企業規模を超えた多数の企業と大学・工業技術センターが、熟練技能と先端技術を持ち寄り、世界に類のない技術と 製品をローコストで生みだすことができれば、県内製造業が再び活気を取り戻すのではないかと思われる。

経済長編読物
 『銀行の貸し出し回収に悲鳴 処理加速で老舗も』(11月13日(水))

 政府の金融再生プログラムで不良債権処理の加速が至上命題となった銀行が、貸し渋りや貸しはがしに奔走する のでは、との危機感が中小企業の間で広がっている。既に一部の老舗商店で資金回収の圧力が強まり、閉店に追い 込まれた店も出るなど、悲鳴が上がり始めている。
 ▽閉店の衝撃
 東京・日本橋で、100年以上、3代にわたって続く老舗が「銀行の貸しはがしは許さない」と結 束を強めている。「東都のれん会」メンバーのつくだ煮屋、扇子屋などの経営者4人だ。
 いずれもバブル期の1990年ごろ、銀行から10億円単位の融資を受け、自社ビルを建築。本業は黒字だが担保不 動産の価格が目減りし、テナントからの賃料は減少、昨秋ごろから銀行の回収圧力が強まった。

 ことし9月末には、会員で、歌舞伎役者らのひいき客に囲まれていた東京・新橋のてんぷら屋が閉店状態に 追い込まれ、仲間に衝撃が走った。
 竹中平蔵金融・経財相のもとで、不良債権処理の加速策が打ち出された。経営者らは「銀行からの回収圧力 が高まることは必至」と身構える。
 経営者の1人は、92年に店を営業していた土地に、8階建てのテナントビルを建設。銀行から40億円弱の融 資を受けた。30年ローンだったが、賃貸収入が予想よりもダウンし、銀行から「債務超過」のらく印を押された。
 本業の小物の伝統品の販売は黒字だが、毎週、銀行の担当者は返済を求める。債権の売却による実質的な債 務の一部軽減でなんとか銀行と折り合った。

 ▽請願書にデモ
 「これまでは体面を考えて黙っていた人も多かったが、結束していかなければ」と、東京商工会議所に貸し はがし防止の請願書を提出したり、1200人規模のデモを実施した。
 国際的な活動をする銀行は融資など資産に対する自己資本の比率を、8%以上に保つことを義務付けられて いる。不良債権処理で自己資本が減れば、資本を自力で増強するか、資産を圧縮しなければならない。
 単純計算では、自己資本が1兆円減れば、12兆5000億円の貸し出し回収が必要となる。
 銀行側は「景気低迷で新規融資の需要がない。貸し渋りなどない」と主張する。だが、中小企業の間では、 銀行が大手流通業者やゼネコンなどに債権放棄などで経営支援する半面、「中小業者には融資圧縮、金利引 き上げを強行する」との警戒感が強まっている。
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広島の景気観測 速報(平成14年10月分・広島商工会議所)

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