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 ※毎週金曜日配信 2002年11月22日 第25号
経済論評
『「箱モノビジネス」のイノベーション』
 増岡 洋 (財)広島地域社会研究センター常務理事


 不況とはいえ元気な企業もある。先日、中国新聞で報道されたビジネスホテルチェーンの東横イン(東京)もその一つ。 「駅前ホテルの鉄筋版」を事業コンセプトに全国57カ所で事業展開を行っている。このホテルが注目されているのは、 経営環境が厳しい中、成熟産業であるビジネスホテル業界で、新たなビジネスモデルを創造し、出店を加速させていることである。
 ホテル業は、いわゆる「箱モノビジネス」といわれている。すなわち部屋数、席数、定員等が決められている「箱」 という空間でサービスが提供されるビジネスのことで、ゴルフ場、劇場、レストランなども同じ事業形態といってよい。
 「箱モノビジネス」の特徴は次の4つ。 (1)箱の容量(席数、部屋数等)に限度があり、一定期間の客数には上限がある。  (2)今日の部屋(席)を明日に持ち越せない。すなわち1日1日が勝負、ウィークデーの不振を週末で取り戻すことは不可能。 要は在庫がきかないのである。 (3)固定費が高い。売り上げの多寡にかかわらず必要とされる固定費の割合が高いのである。 箱というハードへの投資が大きくなるためである。 (4)季節、曜日によって稼働率は大きく変化する。観光地のホテルは季節、 ビジネスホテルは曜日によって稼動状況に大きな格差を生ずる。どんなビジネスにもリスクがあるが、このビジネスのリスクは次の2つ。  (1)投資の回収期間が長い。箱モノ建設にかかる投資と、これを維持するための費用が多額にのぼるからである。  (2)箱モノの容量に限度があることから、売り上げにも一定の限度が生ずる。売れ筋商品を回転させて売り上げを伸ばすなどという 商法はできないのである。
 以上のような特徴とリスクのもとで、ビジネスホテルの成功の鍵(KFS −Key Factors for Success−)は何なのか。第1は、 ホテルのコンセプトを明確にして過大な投資を抑制すること。第2は、低料金で事業運営可能なシステムを構築すること。 第3は客室稼働率を少なくとも70%以上にすることである。一方、出張の多いビジネスマンのニーズ(バリュー)は 「交通至便、クリーンな部屋、低料金」といえる。これら課題にどうこたえるか、新たなビジネスモデルの設計力が問われる。 当社は以下のこたえを出している。 (1)初期投資の抑制。土地・建物は貸借。多店展開のスケールメリットを発揮して、 内装・設備は当社標準仕様で通常の3割安。 (2)女性の能力活用とローコストオぺレーション体制の構築。支配人は全て女性を登用。 社員・パートの95%が女性で、アットホームな雰囲気づくりに努めるなど、顧客満足を維持しながら固定費の抑制を図っている。  (3)低料金の設定。以上からビジネスマンの出張旅費に納まる値頃感のある料金設定を可能にしている。
 以上のように、顧客バリューへの集中、KFSをはずさないような「しくみ」(ビジネスモデル)を組み立てれば、 成熟産業といわれるビジネスであっても成長軌道に乗るということである。企業の新たな「しくみ」づくりこそが、 企業競争力のコアなのである。

経済長編読物
『2兆8000億円の負担増 税制改正や雇用保険料で 03年度、連合が試算』
(11月20日(水))


 連合(笹森清会長)は、政府が現在検討している配偶者特別控除の廃止や雇用保険料の引き上げなどが実現すると、 医療制度改革に伴う患者負担増などと合わせ、2003年度の国民負担は本年度より合計約2兆8000億円増えるとの試算をまとめた。 サラリーマンに限っても約2兆1000億円の負担増になると見積もっている。
 連合は、不良債権処理の加速に伴う失業者増の問題だけでなく、こうした国民負担増が景気に与える影響も懸念。 「大型補正予算の編成」(笹森会長)など総合的な経済対策を取るよう政府に求めている。
 試算は財務、厚生労働両省のデータに基づいて連合総合政策局などが行い、今年4月と03年4月の数値を比較した。
 それによると、政府税制調査会が提案している所得税・住民税の配偶者特別控除の廃止が実施されると8000億円の新たな税負担になる。 両税の特定扶養控除の加算部分が廃止されると2500億円の税負担が見込まれる。
 これを世帯ベースでみると、年収400万円のサラリーマン夫婦2人世帯で年間4万4000円、 年収800万円の世帯で年間8万9000円の負担増になる。
 厚労省が提案している雇用保険料率(労使折半)の現行1.4%から1.6%への引き上げが実行されると、 同料率が1.2%だった今年4月と比べると3000億円負担が増える。年収400万円のサラリーマンは年間8000円保険料の支払いが増える。
 既に決まっている患者窓口負担の2割から3割への引き上げは、4160億円の医療費負担増となる。

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