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 ※毎週金曜日配信 2007年7月6日 第259号
経済論評
『広島駅周辺地区の開発コンセプトを考える』
 佐藤 俊雄 社団法人中国地方総合研究センター 地域計画研究部長


○ 地域を元気にする方法として、中山間地域では交流人口対策が着目されているが、人口減少かつ知識社会化した今日においては、それは都市を元気にする方法でもある。都市においては、技術者からデザイナーに至るまでさまざまなアイデアをもった異種の人が交わり、新しい価値の創造を図る交流空間づくり(インターラクション戦略)の重要性が高まっている。こうした観点から広島の都市づくりをみると、期待が高まる面と懸念される面との両面が見えてくる。

○ 広島は長らく交通後進都市といわれてきた。市内在住者は多少交通が不便でも逃げ出すわけにはいかないので我慢せざるをえないが、周辺の都市や隣接県の経済人からそのように指摘されるということは、広島は人が集まりにくい都市、交流しづらい都市であることを意味していた。
 しかし、今後10年の間には、市内の都市高速道路は既に完成している路線の他、府中仁保道路、東部線、南道路などが続々と完成する予定である。加えて、広島市〜東広島市、呉市〜東広島市間の自動車専用道路の完成も見込まれている。
 広島大学の移転を決めた35年前の大広島都市圏構想(広島・呉・東広島のトライアングル都市構想)は、45年を経てようやくその基盤の完成を見るのである。

○ このように広島の交流基盤は大いに高まるが、もう一つの問題は人々が広域から集まってくるような、吸引力を持った都市機能の高度化ができるかどうか、である。
 広島の都心は紙屋町・八丁堀を中心とした都心核を中心としているが、広島駅周辺にも一定の都心的機能がある。今後は、新球場の開発に触発される形で、若草町再開発、Bブロック再開発、Cブロック再開発等が進み、広島駅周辺の拠点性は一層高まる。
 広島においては、近い将来形成されることになる、都心核と広島駅周辺という2つの都心をどう取り扱っていくかが問われるが、広島駅周辺は広域的な交通条件を生かした「交流型都心」としての性格を持つことになるであろう。

○ 国内を見渡してみても、JR中央駅周辺は、交流拠点としての都市開発が進みつつある。東京駅周辺の再開発では、業務系再開発ビルの中に、外国の大学だけでなく、東京大学・一橋大学などの都内大学と並び、東北大学・九州大学などの主要地方大学がサテライトキャンパスを設置している。社会人教育だけでなく、中央省庁との情報交換や企業との共同研究が狙いである。長らく放置されていた大阪駅北の貨物駅用地も「ナレッジ・キャピタル(知的創造拠点)」をコンセプトとして新産業創造のための研究開発の場としての開発が始まった。

○ 上記の視点に加えて、広島が考慮すべき視点の一つは、今後10年間に制度改革の進展が進むと見込まれる道州制への対応であろう。道州制時代の中心となる州都は、それが備えるべき広域的中心地性を考えると、高次都市機能の集積と広域交通拠点性を併せ持つことが求められる。
 広島が州都としての役割を発揮するためには、中国地方の各地から人・企業・情報が集まりやすい場において、州庁舎を含む「州都機能」を用意する必要がある。

○ これらの観点からすると、現在持て余し気味の広島駅北口は、「州都機能」+「知的創造機能」という役割を持った新たな「交流型都心」という使命を帯びるのでは無かろうか。
 この度発表された広島駅北口地区の基本方針によると、玄関機能・発展拠点・景観調和という方針の下、基本計画を本年度末までに策定して、来年度には国有地の売却という段取りが予定されているという。
 知識社会化した社会経済と近い将来迎える新たな地方を取り巻く環境を考慮すると、本地区においては土地処分を急ぐのではなく、新時代を切り拓く戦略性の高いコンセプトの確立と、それに基づく開発計画の立案が求められているのではなかろうか。
【プロフィール】 佐藤 俊雄(さとう としお)
昭和30年山口県生まれ
昭和54年名古屋工業大学大学院修了(建築学専攻)
同年社団法人 中国地方総合研究センター入社
資格技術士(都市及び地方計画)、一級建築士
非常勤講師山口大学大学院理工学研究科、
広島修道大学大学院経済科学研究科
著書ドイツにおける都市交通と地域計画の新たな潮流(共著)
広島の都心戦略・交通戦略(共著)
経済長編読物
『8月利上げの観測強まる GDP、物価が焦点に』(7月4日(水))

 日銀が8月22、23日の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの観測が、市場関係者の間で高まってきた。企業の業績好調が続き、6月の企業短期経済観測調査(日銀短観)でも景況感の先行きに大きな変化はなかったためだ。
 ただ消費者物価指数は前年同月に比べ下落が続いている。8月半ばには4―6月期の国内総生産(GDP)速報が発表される。決定会合で議決権を持つ福井俊彦総裁ら9人の日銀政策委員が、景気、物価の先行きに自信を持てるかどうかが焦点になりそうだ。
 日銀短観は、大企業の景況感は前期並みだったが、バブル経済期以来の高水準を維持。設備投資意欲も衰えておらず、日銀幹部は「景気の底堅さが確認された」と判断している。
 日銀は7月11、12日に決定会合を開き、景気が想定通りに動いているか点検する。参院選を控えていることもあり、7月の会合では政策金利を据え置くとみられる。だが「少数の政策委員は、利上げを主張するのではないか」(外資系銀行のエコノミスト)との予想もある。
 昨年7月にゼロ金利政策を解除した日銀は、7カ月後の今年2月に再利上げを実施。「景気好調が続けば、半年に1回程度のペースで利上げが続く」とみる市場関係者は少なくない。
 最近は「米国経済の急減速や、参院選後の政局が大混乱に陥るようなことがなければ8月の利上げは確実だろう」(証券系エコノミスト)との見方が増えてきた。
 その一方で、中小企業の景況感が振るわないことや、ハイテク関連製品の在庫増に伴う生産減速を心配する意見もある。「景気は踊り場に入った。利上げは秋以降にずれ込む」と分析する専門家もいる。

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