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 ※毎週金曜日配信 2007年9月21日 第269号
経済論評
『社会支出からみた家族政策』
 森山 玲子 広島経済大学経済学部准教授


 高齢化の進展による年金・医療費の急増問題から、社会保障給付費に占める高齢者関係給付費(年金保険給付費、老人保健給付費、老人福祉サービス給付費、高年齢雇用継続給付費の合計)の割合の高まりが注目されてきた。昨今、少子化問題が深刻化するなかで、高齢者関係給付費に対峙(たいじ)するところの児童・家族関係給付費(児童手当等、児童福祉サービス、育児休業給付、出産関係費の合計)についても、さかのぼった推計が国立社会保障・人口問題研究所により行われるようになった。
 高齢者関連給付費の社会保障給付費に占める割合は、1984年度に50%に達して以降、着実な伸びをみせ、2006年度においては実に70%強を占めるまでに至っている。一方、児童・家族関係給付費の社会保障給付費に占める割合は、1990年度以降3%台前半という水準がつづき、2004年度においても4.0%にすぎない現状である。少子高齢社会とは、年金・医療・介護の給付の必要性が顕著に現れる高齢者層に対する給付割合が、大幅に増大するメカニズムをはらむ社会ではあることは言うまでもない。
 図は、社会支出全体に占める政策分野別給付の割合を示したのもので、家族支援支出(家族を支援するために支出される現金・現物給付に充てる支出を計上したもの)の割合順に並べられている。アメリカを除く下位3カ国の日本、イタリア、スペインはいずれも、近年の合計特殊出生率が低位グループに属することが知られている。異なる視点からとらえるならば、公的年金を中心とする高齢者関連給付と医療給付を主とする保健給付に、極めて大きな支出を行っている国と位置づけることができよう。
 家族支援支出は、家族支援を目的とする現金・現物給付を計上したもので、多くの国で実施されている税制を通じた所得補てんが含まれていない。家族支援支出の全体像を把握するためには、この税制における「見えざる給付」の推計が求められる。児童・家族関係給付という家族支援にかかわる給付規模の小ささをみると、日本企業の手厚い福利厚生制度の存在を考慮しても、わが国の家族支援給付規模の小ささと、対照的に極端に大きい高齢者関連給付および保健給付の対比は、社会保障政策全体における家族政策の位置づけを示しているといえるだろう。
政策分野別社会支出の割合

【プロフィール】 森山 玲子(もりやま れいこ)
1999年3月 神戸大学大学院経済学研究科単位取得退学
2003年4月 広島経済大学経済学部助教授
2007年4月 広島経済大学経済学部准教授
経済長編読物
『中国、不動産投資が過熱 株式に続きバブル懸念』(9月19日(水))

 【上海18日共同】中国で不動産投資が過熱している。8月の上海の住宅販売価格は約2年ぶりに最高値を更新、住宅を中心に不動産は全国的に高騰している。行き場のない投機マネーが不動産に向かっているのが主因だが、1年で約3倍になった上海株に続き、バブル崩壊懸念が出ている。
 上海市不動産鑑定士協会によると、8月の新築住宅価格指数は1495で、過去最高だった2005年6月の1456を2年2カ月ぶりに上回った。国家統計局などによると、上海や北京など全国70都市の不動産販売価格は平均で前年同月比8.2%も上昇。五輪を控えた北京や、香港に近い深センなどの上昇が際立つ。
 上海では05年後半に、政府の規制強化で住宅価格は急落、その後は横ばいが続いたが、今年春ごろから急上昇。預金金利が比較的低いため、市民が不動産の値上がりを期待し投資を再開したほか、上海株で稼いだ投資家が資金を不動産に再投資しているという。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)上海センターの岩田泰副所長は「住宅を求める若者が増えているにもかかわらず、政府が供給を制限し、住宅不足となったことが値上がりの一因」と指摘。上海の日系不動産会社は「需要が多い繁華街のビルなどを除けば、いずれ下落する」とみている。

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