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 ※毎週金曜日配信 2002年12月13日 第28号
経済論評
『地球観測衛星による瀬戸内地方の環境モニタリング』
 菅 雄三 広島工業大学環境学部環境情報学科教授


 瀬戸内海地方は、古来より陸域および海域の自然環境に恵まれ、わが国を代表する内海として発展してきている。 一方、各種産業の発展および人口の集積に伴い、瀬戸内生活圏特有の環境問題も生じている。 ここでは、瀬戸内海全域から特定海域規模を対象とした、衛星による環境モニタリングシステムの事例について紹介する。
 NOAA衛星データを用いて、陸域は可視・近赤外画像で加法混色し、海域は熱赤外画像を解析して、 瀬戸内海全域における夏期の海面温度を寒色系から暖色系に表示したカラー画像を作成することができる(写真1)。 海域では、相対的にみて低温域の日本海に対して、太平洋の高温域で示された黒潮のダイナミックな流動パターンがみられる。 この画像では、雲の下に太平洋の黒潮流軸があると思われ、四国沖における海洋渦が3つ連なって明瞭に判読できる。 内海部は潮汐流が卓越し、複雑な地形と相互して湾、灘で特有な流動場を形成して、海水交換規模を大きく支配している様子が理解できる。
 一方、局所的なモニタリング手法としては、LANDSAT衛星の熱解析画像の結果とほぼ一致すると考えられる潮流図と組み合わせることにより、 潮流と渦の発生状況が、より具体的に可視化され理解を深めることができる。冬期は、夏期とは逆に浅い海域で冷却され、 外洋水の流入する豊後水道から伊予灘、安芸灘で高温水が分布し、流速ベクトルの大きさに比例して渦の大きさが判読できる(写真2)。 また、寒候期における外洋水および河川水の流入分布パターンも検出することができ、沿岸地形による閉鎖性海域の潮流と海面温度分布の関連性が判読できる。
 それぞれの衛星データの観測性能に基づき、海峡の急激な地形変化と急潮流を呈する瀬戸内海の海象パターンの抽出が可能である。 時間的・空間的情報としての衛星データ解析画像と流況情報としてベクトルデータ化された潮流図を重ね合わせ表示することにより 潮流との対比から潮流渦および水魂の位置と輪郭を判読することが可能である。
 このように、衛星データに基づく面的かつ時系列的な環境情報のデータベース化により、瀬戸内海規模での海面温度の 動態パターンのモニタリングが可能である。人間活動に伴う環境への影響評価ならびに環境監視・分析に際して、 衛星リモートセンシングから得られる環境情報が有効であると考えられる。
(写真1)瀬戸内海の海面温度画像(夏期)
(写真2)広島湾・安芸灘・伊予灘の海面温度と潮流図の合成画像(冬夏期)

【プロフィール】 菅 雄三 (すが ゆうぞう)
広島市生まれ
法政大学大学院工学研究科修了
広島工業大学において現職に至る
【学会・委員等】
(社)日本リモートセンシング学会中国四国支部支部長、(社)日本リモートセンシング学会・評議員、米国政府内務省USGS/LANDSAT衛星運営委員会・委員、(社)日本測量協会・評議員、(社)日本測量協会中国支部・常任幹事
【専門】
人工衛星リモートセンシング、地理情報システム、空間情報処理論、環境・防災等社会基盤情報システム、地球環境情報システム
経済長編読物
『日米の本命が一騎打ち あおぞら銀買収合戦』(12月11日(水))

 三井住友銀行があおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)買収を計画していることが表面化し、 既に名乗りを上げている米系投資会社サーベラスとの事実上の一騎打ち≠フ様相を強めている。 あおぞら銀株の売却を予定しているソフトバンクが目指す年内決着に向けて、 本命2社のぎりぎりの駆け引きが続きそうだ。
 筆頭株主であるソフトバンクは、成長が見込まれる高速デジタル回線事業への投資拡大などに対応するため、 時価で1000億円前後とみられるあおぞら銀株(発行株式の48・8%)の売却を急ぐことにしている。
 関係者によると、株買収に意欲を示したのは三井住友銀、サーベラスとドイツの大手銀行ヒポ・ フェラインスなど4社。しかし「ソフトバンクは候補を競わせ高値売却を図る戦略」(金融筋)とされ、 三井住友銀、サーベラス以外は「当て馬」との見方が有力だ。
 サーベラスは投資家から集めた資金で破たん企業などを再建し、株式の売却益を上げる投資ファンド。 既にあおぞら銀の第4位の株主(11.5%)となっているが、ソフトバンクの保有株の購入で、 経営の主導権を握る狙いがある。
 一方で三井住友銀は、あおぞら銀が旧日債銀から受け継いだ地銀のネットワークを活用し協調融資などの 新事業を拡大するとともに、個人富裕層や中小企業などの取引先を増やし、営業基盤を強化する考え。
 自己資本比率が高いあおぞら銀を子会社化し「連結自己資本比率がかさ上げされる副次的効果もある」 (三井住友銀関係者)。
 買収を認可する金融庁はあおぞら銀の経営の安定を重視している。「株売り抜けを図る投資ファンドの 買収には難色を示している」(大手銀行幹部)といわれ、三井住友銀にとっては有利な状況にある。
 ただ同行が筆頭株主に躍り出れば、ソフトバンクとともにあおぞら銀の経営再建を支えてきた 第2位株主のオリックス、東京海上火災保険の存在感の低下は否めず、両社がすんなりと応じるかは不透明だ。 買収合戦は当事者、監督官庁、株主の思惑が入り乱れ、混戦模様となっている。

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