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 ※毎週金曜日配信 2008年2月15日 第289号
経済論評
『ネットワーク「こども寺子屋」事業』
 立野 裕一 (財)ひろぎん経済研究所 主任研究員


 「やったー!」、「できたできた!」、児童の元気な声が響きわたる。別の教室では幼児が瞳をキラキラさせながら絵本に見入っている。どこにでもある託児所の光景であるが、最近の託児事情は必ずしも、こども達の笑顔のような明るい話題ばかりではない。
 と言うのも、全国の多くの託児所では、「保育人材の確保難や重い人件費負担を抱える中で、延長保育や休日保育等のニーズへの対応や、サービスの質の維持・向上を図ることはとても難しい」という共通の課題を抱えている。
 こうした課題を解決するための一プロジェクトがネットワーク「こども寺子屋」事業で、当研究所が総括的な位置づけで携わっている。同事業は経済産業省の平成19年度「ビジネス性実証支援事業(育児サービス分野)」において、全国から16件応募があった中で採択された4件の中の1件である。
 事業目的は、広島市など広島広域都市圏において、女性が安心し自信を持った子育てとキャリアを十分生かした就労を両立させつつ、こども達が学び方、ものの考え方、生きる力を身に付けることができる「保育・教育一体型の総合サービス」の提供モデルを構築することである。
 事業主体は、当研究所を代表団体として、幼児・児童預かり施設の(株)ロジテックベベ、医療機関の(医)えんじゅ会肥後医院、広告企業の(株)みずま工房によるコンソーシアム(共同事業体)で、広島大学大学院や安田女子大学など地元大学の教授等の支援も仰ぎながら、昨年6月から準備を進め、同10月末から本年2月初旬までの約3カ月間、広島市の2カ所(白島教室、八丁堀教室)で、こども預かり事業の実証実験を行った。
 本事業の特徴は、携帯電話やインターネットを利用した独自開発による運営・管理システムを活用し、預かるこども(登録者:約60名)と保育ボランタリー・スタッフ(子育てを経験した女性や、子供の教育に関心があるボランティア・保育士等のうち、当コンソーシアムによる教育訓練受講者:約30名)のタイムスケジュール等を最適マッチングさせることで、低コストで安全性が確保され、かつ、効率的な運営が可能となる「こども預かりサービス」事業を検証するものである。
 事業全体を通しての成果概要は次の3点にまとめられよう。
1)マッチングシステムの活用により、日々変動するこどもの預かり人数に合わせてボランタリー・スタッフを適正配置し、それによって生み出された時間やコストをサービスの質の向上(生産性向上)に繋げるとともに、顧客ニーズに対応した安心感のあるサービス提供が可能であることが実証できた。
2)研修を通じて、保育ボランタリー・スタッフのこども預かり事業への意欲や意識が高まり、現場でも十分に戦力として活躍できることが確認された。
3)独自に作成した緊急時対応マニュアルを、保育ボランタリー・スタッフへの研修に活用するとともに、現場でも十分役立つことが分かった。
 本事業は、今回ひとまず終了したが、当コンソーシアムでは、経済産業省に事業性検証に関する最終報告を行うなかで、今後、本事業が全国に普及できるような提言を行っていく予定である。また、広島市等において、今回のノウハウをもとに引き続き育児支援事業にも積極的に関与するとともに、その他の地域振興策に関する調査・研究等と併せて少しでも地域発展に貢献できればと考えている。

経済長編読物
『世界共通の安全基準必要 日本は品質管理で貢献を』(2月13日(水))

 中国製ギョーザ中毒事件で「食の安全」に対する不安感が高まっている。安全を確保するためにできることは何か。キッコーマン会長で、食品業界の横断的組織である食品産業センター会長も務める茂木友三郎(もぎ・ゆうざぶろう)氏は、食品安全に関する世界共通の基準を作るべきだと提言する。
 ―日本の食の現状をどうみるか。
 「日本は多くの食料を輸入しており、海外への依存度が高い。食料自給率は約4割まで下がっている。しかし一気に輸入を止めることはできないし、輸入品がだめだというわけではない。海外からの物をどうやって安全に食べるかということに知恵を絞ることが課題だ」
 ―安全確保のためにどんな手が有効か。
 「世界共通の安全基準を作るべきだ。国によって基準が違うのは事故のもとだ。例えば遺伝子組み換え農作物に関する基準は、国によって異なっている。どこで作られた物でも安心だということになれば、食品や農産物の国際的な流通も促進される。消費者も安心して食べられる。民間でできることではないので、官に取り組んでもらいたい。日本がリーダーシップを取るべきだ」
 ―食品会社の役割は。
 「海外で作った物でも安全なんだという確認を、今まで以上にしっかりやるべきだ。安全な食品を消費者に提供するという原点に立ち返って、品質管理の仕組みを整えることが大切だ。日本の進んだ管理技術を、海外に積極的に移転することも必要。日本だけでなく、現地の消費者も安全な食品を食べられるようになる」
 ―食生活で見直すべき点はあるか。
 「(地元産の食材を消費する)地産地消や、国産の食品を見直すべきだ。日本食は生活習慣病の予防など、健康にいいという研究結果もある。(目の届く)隣の畑で作った野菜は安心だ、ということも言える。昔の食生活に戻す必要はないが、もう少し日本食の良さが見直されていい」

経済サロン 中国新聞ビジネスインタビュー
『昨年は倒産減少、今年は懸念材料目立つ』
    東京商工リサーチ 広島支社長 竹 茂和氏
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