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『高度情報化社会の課題: 電子調達と企業格付け』 大場 充 広島市立大学情報科学部教授
現在我が国の政府は、e-Japan計画に基づき、電子政府や電子自治体の構築、インターネット技術を基礎としたブロードバンド
情報通信基盤整備などに着手する準備を進めている。総務省と各地方自治体の協力で実施された2002年の電子住民基本台帳の試験的導入も、
その第一歩である。さらに、ネットワークの拡充と、サービスの拡充が計画されている。
さらに電子(公開)入札などの導入による電子政府の構築や、各地の地方自治体による電子自治体の構築も順次、計画されている。
この電子行政システムと行政ネットワークの構築・整備には、政府・地方自治体による巨額な予算の投入が計画されている。
すなわち、今後5年間以上にわたり、各方面において巨額なIT関連調達のための入札が、政府・地方自治体で実施されることとなる。
そのような行政による巨額の調達は、「透明で公正な手続きによる業者選定」が極めて重要となる。特に経済のグローバル化により、
重大な理由なしに入札業者をあらかじめ限定することは、どの国でもWTO違反との批判を招く恐れがあり、国際問題に発展しかねない。
このような背景から、我が国においてもヨーロッパ諸国同様、国際的なIT調達に関する手続きの整備が課題となっている。
行政の調達においては、もはや入札に参加できる業者を国籍や企業規模で制限することはできない。つまり、
一定の合理的な基準を満足できる業者は、国籍や企業規模を問わず、入札に参加できることが前提となる。特に、
情報システム開発サービスの調達においては、その業務に労働集約的な側面があり、インドや中国など労働コストが相対的に
低い国々の業者が極端に有利になる傾向がある。
他方、情報システム開発サービスの調達においては、一般の物品購入と異なり、納入されるシステムの品質は、
その開発に参画する技術者や管理者の技術力や知識に大きく依存する。したがって、単に見積り価格が安いからと言って、
経験が乏しく、技術力の低い技術者や管理者が大半を占める業者に発注することは、プロジェクト失敗のリスクを大きくする。
プロジェクトが失敗すれば、それは巨大な損失を生む。
そのような理由から、行政における情報システム開発サービスの調達においては、公平で透明性が高く、洗練された、
国際的に通用する手続きの確立が必要不可欠である。そのような手続きに要求されることは、(1)業者の提案に内包された
技術的なリスクを適切に評価できること、(2)提案業者の技術力や管理の能力を中心とした業者の組織(企業)としてのリスクを
適正に評価できること、(3)業者の実践している品質保証プロセスが安定しており信頼できるものであることを適切に評価できることである。
最後の品質リスク評価については、ISO9000がすでに定着している。
第一の「提案に内包された技術的なリスクの評価」については、技術評価を実施することが重要である。すなわち、
開発に応用しようとしている技術の実績とその効果を適切に評価し、その技術の選択が妥当かどうかを見極める必要がある。
また、見積りが、過去の実績に基づいた合理的なものであり、非現実的な仮定に基づいていないことや、架空の数字でないことを検証する必要がある。
第二の「提案業者の技術力や管理能力のリスクの評価」については、金融機関等の評価でなじみ深い、
専門的な第三者機関による「格付け」が重要となる。業者の規模や国籍に関係なく、信頼できる専門的な第三者機関による科学的で、
厳正な審査に基づいた組織能力のリスク評価である。米国の政府調達等で実績があり、経済産業省を中心に導入が検討されているCMM、
国際規格であるISO15504のプロセス評価手続きに基づいた英国のPPAなどは、そのような要求を満足する情報システム開発企業に対する
国際的な「格付け」法である。
(注)CMMやISO15504については、後日改めて解説します。
【プロフィール】 大場 充(おおば みつる)
1949年 東京都生まれ
1973年 青山学院大学大学院修士課程修了(理工学研究科)
1974年 日本アイ・ビー・エム株式会社入社(製品保証)
1982年 同 東京基礎研究所(主任研究員)
1984年 同 東京基礎研究所ソフトウエア工学担当マネージャー
1990年 米国IBMエンタープライズ・システムズ出向(副主幹研究員)
1993年 日本アイ・ビー・エム株式会社SE研究所(副主幹研究員)
1994年 広島市立大学情報科学部教授
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『消費者関与の在り方課題に 7月に食品安全委発足』(5月14日(水))
政府は、15日の参院内閣委員会の採決を経て近く成立する見通しとなった食品安全基本法に基づき、食品の安全性評価を担う食品安全委員会を7月にも設置する。委員の選定など発足に向けた組織づくりで、消費者の関与をどう盛り込むかが、当面の大きな課題だ。
同委員会は、食品が健康に与える影響を科学的に評価し、農水、厚生労働など食品行政に関係する省庁の大臣に勧告する権限を持つのが特徴。このため独立性を考慮して、内閣府に設置する。
最初のテーマは、厚労省の研究班が食品としての安全性を事実上認めた体細胞クローン牛の安全性判定となる見込みだ。
委員会のメンバーは、国会の承認を受けた毒性学や化学物質の専門家7人の委員を中心に、分野ごとに実際の評価や調査に携わる約200人の専門委員、約80人の事務局員で構成。
一昨年の牛海綿状脳症(BSE)発生などを受け、政府は国民との緊密な情報のやりとりも重要な役割と位置付けている。
具体的には、委員の1人に消費者の意識や行動に詳しい学識経験者を充て、情報関係を担当する専門委員に消費者を参加させる方向で検討中。消費者の声については「モニタリングの実施などで、十分吸い上げられる」(政府関係者)との判断だ。
しかし、一部の消費者団体は「消費者を重視する以上、専門委員ではなく委員にすべきだ」と主張、消費者代表の取り扱いをめぐる調整は難航も予想される。
農水省など関係省庁は、同委員会の評価を基に、食品の生産・流通を規制するなど必要な行政措置を実施することになるため、消費者団体はより強い関与を要望し続ける構えだ。
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