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 ※毎週金曜日配信 2003年7月25日 第59号
経済論評
『コミュニティ・ビジネス』
 松岡 克己 ひろぎん経済研究所 主任研究員


 先日、広島労働局主催のシンポジウム「地域を豊かにする雇用を創る!〜地域を元気にするコミュニティ・ビジネス」に参加した。 その中で、NHKの人気番組「プロジェクトX」を担当する国井アナウンサーの講演があった。
 国井アナウンサーは、120本を超える番組製作の苦労や、取材の過程で知った登場人物についての思いを、 温和な口調で熱く語られた。話を聴きながら、いくつかのシーンが目に浮かび、戦後の日本を陰で支えてきた人々への尊敬や感謝の念を新たにした。 また、番組立ち上げ時に半年間か1年間しか続かないと考えていたこと、中島みゆきさんの主題歌の誕生までの経緯等も説明され、 実際には放送されなかった数々の逸話に会場が大きな感動で包まれ、1時間あまりの講演は、いつになく盛大な拍手で幕を閉じた。
 この「プロジェクトX」は、20〜30年前という時代設定で、中高年層にとっては、やや身近なドキュメンタリーでもあり、 この番組の人気の裏には、失われた時代へのノスタルジアと閉塞感に満ちた現状打破への期待が込められていると思う。
 地方の時代といわれて、久しい。地方分権が推進され、各地域でさまざまな試みが行われている。そのような試みは、 多くの課題に直面しながらも、着実に進みつつある。
 例えば、数年前には考えられなかったような速さで、行財政改革や市町村合併等が進む中、NPOが中心となったコミュニティ・ビジネスが注目されている。 コミュニティ・ビジネスの定義は難しいが、当シンポジウムでは「地域住民が地域の課題をビジネス手法で解決し、 その利益を地域に還元して地域を豊かにするビジネス」と位置付けている。コミュニティ・ビジネスは、 行政のスリム化が推進され行政ニーズが多様化するなか、資金面や人材面の課題を抱えながらも、着実に拡大しつつある。
 プロジェクトXの登場人物たちが、困難な状況に立ち向かい、それを克服できた背景には、彼ら自身の心(信念)を動かす何かがあったと、 国井アナウンサーは言う。
 20〜30年前でなくとも、そのような挑戦者たちは身近にもいる。コミュニティ・ビジネスの創業者は、その一例であり、 日本各地で、新しい価値観と強い使命感を持って、さまざまな課題に立ち向かっている。そのような取り組みが少しずつ拡大し、 その地域を変え、ひいては日本全体を変えていくことを期待したい。

経済長編読物
『再生へ取り組み始動、りそな』(7月23日(水))

 りそなグループの実質国有化を決定した政府の金融危機対応会議から2カ月が経過した。細谷英二新会長は「1円でも多くの利益を」と全行員に呼び掛け、業績回復を目指す。動き出したりそな再生の取り組みを追った。

◇他行が切り崩し攻勢
 大阪府吹田市内の繁華街。その一角にりそな銀行江坂支店がある。三井住友銀行などの4大メガバンクも軒並み支店を構える金融激戦区だ。
 「やるべきことは1日も早い再生だ」。梅沢秀章支店長(49)はこう言い切る。それでも、25人いる行員は当初、実質国有化を割り切れない思いで受け止めた。「リストラされるのではないか」「給与カットで生活はどうなるのか」と将来の不安が口をついて出た。
 「りそなは危ない」とささやく他行の切り崩しも始まった。梅沢支店長と担当者が手分けして取引先を訪問し、顧客離れの食い止めに奔走した。新しい経営陣から新たな業務計画は示されていないが、「期初に定めた目標をクリアするだけ」と梅沢支店長は気を引き締める。

◇融資姿勢に不満
 りそなグループは収益拡大の柱に中小企業向け融資の強化を挙げている。経営健全化計画は、りそな銀行の中小向け貸出比率を現在の76%から80%以上に引き上げることを明記した。しかし、中小企業経営者の実感は異なる。
 「りそな銀行は、支店に来るなら貸してやるという感じ。中小企業重視は言葉だけ」―。
 中小企業の街、大阪府東大阪市で樹脂製造業を営む品川隆幸さん(61)は不満を漏らす。地場産業の活性化を目指し、約140社が参加するネットワーク「ロダン21」の社長も務める品川さんによると、同市内の中小企業向け融資競争には、南都銀行(奈良市)など他府県の地方銀行も参入。三井住友銀などは無担保で融資する新商品で攻勢をかけているという。
 刃物製造業を営む男性(52)も、「地銀や信用金庫の方が経営相談に乗ってくれて助かる」と、りそなに厳しい視線を向ける。
 大阪府信用金庫協会の溝口肇会長(大阪信用金庫理事長)は「りそなに融資を断られ、信金に駆け込む企業も少なくない」と話す。太田房江府知事は今月2日、就任あいさつに訪れた細谷会長に「中小企業の思いを肌身に感じて経営してほしい」と要望した。地元の信頼を勝ち取ることができるかどうかは、りそなの経営にとって大きなポイントの一つだ。

◇過去の清算
 現在、りそなグループは監査法人トーマツに委託して、全資産の再査定を実施中だ。外部による厳格な査定で経営実態を正確に把握するのが狙いだが、このほど就任した社外取締役の1人は、「焦点は大口融資先の親密不動産会社の扱いだ」と指摘する。いわば、りそなの「暗部」にメスを入れられるかどうかが問われるが、社外取締役の箭内昇・元日本長期信用銀行(現新生銀行)役員も「(査定を)しっかりやらせるべきだ」と主張したという。
 融資の現場を取り巻く厳しい環境、不良債権処理の加速で予想される今期の赤字決算。りそなが2年間かけて実現を目指している「V字型回復」は、前途多難だ。
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