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 ※毎週金曜日配信 2003年12月12日 第79号
経済論評
『自動車産業で進む部品モジュール化の意味と課題』
 目代 武史 広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター助手


 いま自動車業界では、部品モジュール化への取り組みが進められている。モジュール化の取り組みは、 1990年代半ばから欧州で本格化した。モジュール部品の加工・組み立てを賃金率の安いサプライヤーにアウトソースすることにより、 コストの引き下げが図られた。
 これに対し、日本でモジュール化の導入が本格化し始めたのは、1990年代末からである。ただし、 日本メーカーの取り組みが遅れていると見るのは正しくない。日本メーカーはそれまでもVE・VAを通じて設計の合理化を進めていたし、 メーカーとサプライヤーとの賃金格差も欧米ほどは大きくない。欧州型のモジュール化ではメリットが少ないとの判断が日本のメーカーにはあったのである。
 しかしここにきて、日本メーカーがモジュール化の取り組みを強めているのは、 設計段階にまで踏み込んだモジュール化により機能向上およびコスト削減の双方を目指すようになったためである。
 さて、ここで改めてモジュール化の意味を考えてみたい。モジュール化の一つの要件は、 いくつかの部品を「複合化」してユニットを作り、そのユニットが一定の機能を持つようにすることである。 例えば、燃料タンクモジュールは、燃料タンクと燃料ポンプを組み合わせたものであるし、コックピットモジュールは、 インストルメント・パネル、メーター類、オーディオ、空調などを複合化したものである。
 しかし、複合化だけではモジュールの要件として十分でない。モジュール化のもう一つの要件は、 複合化されたモジュールが他の部分から切り離されることである。モジュール化された部分が他の部分から構造的あるいは機能的にある程度独立し、 切り離されることにより、モジュールにおける設計変更などの影響がモジュール内に限定され、全体設計への影響が抑えられるのである。
 もともとモジュール化は、年々製品が高度化、複雑化するコンピューター業界において発達した。 コンピューターの設計が複雑化するにつれ、開発工程のマネジメントはますます難しくなっていった。 例えば、メーンボードの設計変更がディスプレーの設計に影響を与え、さらにディスプレーの設計変更がメーンボードの他の部分に影響を与えてしまうようなことが起こる。 このように、ある一部における設計変更が他の部分に波及していき、全体として膨大な設計変更へと発展するようなケースがしばしば起こっていた。
 コンピューター業界におけるモジュール化は、設計における相互関連性を抑制し、開発工程の負荷を低減することにより、 開発コストやリードタイムを削減することを狙いとして発展してきたのである。
 これに対し、自動車における部品モジュール化は、業界における独自の事情を反映し、 まず生産工程における効率化のツールとして導入され、さらに設計合理化の手段へと発展してきた。 しかし、自動車業界におけるモジュール化は、部品自体の機能性や製造方法の改善に主眼が置かれ、 設計プロセスの効率化や合理化にはまだ至っていない。つまり、モジュールの「複合化」の要件は満たされているが、 「切り離し」の要件はあまり重視されていないために、モジュールの設計プロセスにおける開発工数削減などの効果はまだ十分に出ていない。
 もしモジュールの切り離しが進めば、設計プロセスにおいてもモジュールと他の部分との間で機能的あるいは構造的な干渉を調整する手間は格段に小さくなる。 すなわち調整にかかる工数を節約することができる。また、モジュールの開発から製造をサプライヤーにアウトソースしやすくなる。 それにより、社内における開発資源をより戦略的に中核となる領域へ重点配分することが可能になる。
 また、サプライヤーにとってもこの「切り離し」の意味するところは重大である。いわゆるモジュール・メーカーになるためには、切り離しにかかわる技術力や組織能力が欠かせない。 なぜなら良いモジュールをつくるためには、クルマをどのような部分に切り分ければ良いモジュールになるかを提案しなければならない。 そのためには、より高い視点から部品の機能や構造を眺める必要がある。
 これはサプライヤーにとってはたいへん挑戦的な課題である。なぜなら、これまでは部品システムの切り分けは自動車メーカーの仕事であり、 サプライヤーは自動車メーカーから提示された部品仕様に従って、それをいかに高品質、低コスト、短納期で製造するかを競い合ってきた。 その結果、世界的にも競争力のある生産技術や製品開発力を構築してきた。
 しかし、部品モジュール化の時代に求められているのは、これまでよりも一段高い視点から部品を眺め、モジュールが果たすべき機能を見極めることである。 製造技術や要素技術の高度化は必要であるが、それだけでは十分ではない。求められるのは、機能の観点からモジュールを切り分けていくシステム技術である。 さらには、モジュールに必要な構成部品を他のサプライヤーと連携して設計、製造する企業間調整能力も必須である。
 サプライヤーが直面する課題は重い。それだけに乗り越えた企業には大きな飛躍の機会が広がっている。
【プロフィール】 目代 武史(もくだい たけふみ)
2001年 広島大学大学院国際協力研究科 学位(学術)取得修了
2002年〜 広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター 助手
専門分野:技術開発論、経営戦略論、中小企業論
経済長編読物
『デジカメ国内シェア5%に自信 西口・京セラ社長に聞く』(12月10日(水))

 京セラの西口泰夫社長はインタビューで、本年度中にデジタルカメラの新製品を集中投入することで、来年3月末のデジカメの国内シェアを今年3月末の約2倍となる5%にまで引き上げられるとの自信を示した。
 ― 急伸する市場で、小型デジカメ「ファインカム」の売れ行きは。
 「デジカメ分野は出遅れたが、1秒で3コマ以上連続撮影できる新製品が好評だ。同じ技術を使った10倍ズームレンズ付きも来年3月発売する」
 ― 本年度発売のデジカメの新機種数は。
 「計11。来年3月下旬の週間販売台数で国内シェア5%に届くと思う。動画を長時間撮れる機種も来秋出し、2005年3月末で10%近くを狙う」
 ― 携帯電話の展望は?
 「米国や中国が不振で、本年度上半期の全世界売上高は前年同期比1割減。下半期のばん回で通期はほぼ横ばいだろう」
 ― 横にして撮影できるカメラ付き「リボルバー」の国内販売の現状は。
 「計画を若干下回っているが、携帯電話とデジカメの融合は今の流れだ。現在は33万画素だが、来年は100万画素と200万画素も投入したい」
 ― 日本IBMから8月、携帯電話やパソコン用のプリント配線基板事業を買収したが。
 「受け皿の京セラSLCテクノロジー(滋賀県野洲町)を設立した。来年は京セラの有機材料部品事業も統合する。初年度売上高は150億円、3年以内に倍増したい」

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