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 ※毎週金曜日配信 2002年7月26日 第8号
経済論評
『グローバル化とサッカー』
古川 隆 中国地方総合研究センター会長


 ワールドカップは、後援会の一員として単に義務的にサンフレッチェの応援に行くだけの、私ごとき門外漢までサッカーに引きずり込んだ。
 面白味は第一には競技自体にある。一瞬たりとも目が離せない。あふれるスピード感、芸術的な足さばき、使ってはならない手や肘の効果的な活用。 「勝利」の為には、表に出なければ何をやってもいいという「市場原理」のサッカー版であろうか。第二には、いわゆる大国が必ずしも勝たない事であり、 第三には「擬似戦争」と称される各国間のせめぎ合いである。
 広島ゆかりのサッカー協会の長沼さんは、専務理事時代(昭和63年3月)「ありがとうクラマー氏」と題して紙上に [東京オリンピックの直前に来日したドイツのクラマーコーチは 日本の選手に向かって「君たちはサッカーが分かっていない」 といい「知っている」 と答えた選手に「それならイングランドのサッカーについて話してみろ」さらに「日本の」と投げかけ、 返事のできない選手に対して 「サッカーは民族、歴史、気候風土などによって異なる。」 「技術の劣るチームは勝つことがあるが、モノを知らないチームは勝ったためしが無い」 とさとした。] との趣旨を記している。「敵も知らず己も知らずでは、百戦危うい」というわけであろう。
 今回のワールドカップでも、例えば同志社大の佐伯順子教授は、A紙に「・・各国の個性もはっきり出る。・・・」と記し、B氏はC誌に「異なる文化と歴史の中で生活している人間の考え方や 行動態様が異なるのは当たり前・・国・・によって得意分野は全く違うなと痛感する」と書いている。
 しかし、果たしてそうであろうか?民族・風土などの条件の差による違いは次第になくなってきているのではないか。戦術は、「抱える選手の個々の力とその組み合わせによる総合力アップ」という視点が強くなっていると思える。
 今回、際立った、トルコ・韓国・日本などの中核をなす選手はみなヨーロッパで活躍(EUの発展に伴う労働者移動の自由も寄与している)しており、また、 チーム自体も各国との他流試合を積んできている。トルシエ前監督も日本の強くなった原因を「(1)競争意識 (2)世界の上位チームとの対戦」としている。
 本当の戦争も、自然の地形などを別とすれば、ハイテク近代兵器の優劣によって決まる。国民性がかかわるとすれば、兵器の場合、その操作技術であろうか。 サッカーと日本の国民性について記すなら、50年余も経済的繁栄の中で一国平和主義で過ごしてきたため「逞しさ」 「強靭な精神力」 「危機管理意識」などが欠けている点があげられよう。
 今回、来日したクラマー氏も「各国のサッカー文化の衰退」を指摘したと伝えられた。グローバル化は明らかにサッカーの質を変えてきていると思える。

【プロフィール】 古川 隆(ふるかわ たかし)
1955年 神戸大学卒業 中国電力入社
1995年-2001年 中国電力 副社長
1996年-1999年 広島経済同友会 代表幹事
安田大学 客員教授・広島経済大学 特別客員教授
経済長編読物
 『和歌山の薄板は鹿島へ  住友金属社長インタビュー』(7月24日(水))

 国境を越えた再編の動きが加速する中、最大手の新日本製鉄などとの提携に活路を求める住友金属工業の下妻博社長に今後の事業展開などを聞いた。
 ―新日鉄との提携で見直しが進む和歌山製鉄所(和歌山市)の薄板生産はどうするのか。
 「鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)の新高炉が立ち上がるのは2004年9月で、その後の慣らし期間は半年くらい。どのタイミングで和歌山の薄板を鹿島に移行するかを検討している。 新高炉が立ち上がってから、バランスを考えながら、思い切って和歌山製鉄所の分を吸収したい」

 ―台湾の鉄鋼大手、中国鋼鉄(CSC)へのスラブ(半製品)供給を増やす考えは。
 「スラブはあちこちで不足しているので、可能性はあるだろう。CSCは1年間ということで60万トン(のスラブを住金から)買うと決めたが、これは『お試し期間』だ。 彼らにも(調達先を)選ぶ権利があるし、われわれも売り先をCSCに固定するか選択する権利がある」
 ―CSCとの資本提携や合弁などの可能性は。
 「それは分からない。相手がどう出るかも分からないし」

 ―経営破たんした米国の鉄鋼大手、LTVとの米合弁会社はどうする。
 「LTVとは包括技術提携をしており、お金をもらって技術を提供していた。今は(合弁会社も)フル操業しているが、(日本が先行している高級鋼板の技術供与など) 日本のメーカーとしてやらなくてはならない役割は終わっている。今後も技術が評価され、それなりの存在として事業が成り立つのか、そうではないのか。 そういう意味で(提携の今後を)検討している」


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