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『グローバル時代の酒』 高橋 乗宣 三菱総合研究所 社友
芋焼酎が大ブームで、原料のサツマイモの供給が追いつかなくなっているという。昨年の天候不順で鹿児島県のサツマイモの収穫量が前年比10%以上減少したという事情もその背景にはあるようだが、
なんといっても全国的な芋焼酎ブームの影響が大きい。そのため、蔵元では出荷調整を始めたり、中国産の冷凍サツマイモを使用したりするところも現れているというのだ。
雑誌の特集はもとより、蔵元見学ツアーのテレビ番組まで登場する始末だからただごとではない。
かつては、ホテルのバーや高級クラブなどで、芋焼酎を置いている店なんてほとんどなかった。それが今では、一流ホテルのメインバーでも、銀座や流川など繁華街の高級クラブでも、
どこにでも芋焼酎が置いてある。従業員が東奔西走し、悪戦苦闘して競うように品物をそろえているらしい。人気ブランドはもともと品薄状態だったが、そこに原料不足なのだからダブルパンチだ。
かくして芋焼酎は文字通り“ボトルネック”にぶつかったようであり、このままだと値上げに踏み切らざるを得ないということにもなりかねない。
数年前から「森伊蔵」「村尾」「伊佐美」といった有名ブランドは、市中ですごいプレミアムがつくようになった。今では、なかなかお目にかかれないようになってしまったが、
このブームはこうしたブランド焼酎だけではない。最近では蔵元の努力もあって、数多くの洗練された品物が全国にどんどん出荷されるようになっている。特有の香りと甘さで多くのファンを獲得しているのだ。
そのうち、2番手グループ、3番手グループというポジションの銘柄も、プレミアムがついたり、入手困難になったりするかも知れない。
こんなことは、一昔前には想像もできなかったことである。日本酒は別格としても、多くの日本人はスコッチやブランデー、バーボンといった洋酒にあこがれていたものだ。
私自身の酒遍歴を振り返っても、当初はもっぱら洋酒だった。学生時代に、恩師が経済談義をしながらウイスキーグラスを傾ける姿に憧れもした。そして、そのうち日本酒の冷酒にハマっていった。
年号が平成になるころだろうか。血圧や尿酸値など成人病を警戒するように言われ始めた頃から、ビールも日本酒もほどほどにし、もっぱら芋焼酎を愛飲するようになった。
考えてみると、洋酒が高値の花だったのは往時の高関税のためにちがいない。そのころは、洋行土産でたまに飲ませてもらうありがたい飲み物だった。日本で買おうとすれば、
ベラボーに高くてとても手を出せない“不自由な時代”だったのだ。免税店での買い物はもっぱら洋酒∞洋モク≠ナあった。つまり、洋酒の価値は、高関税政策によって高下駄を履かされていたのである。
しかし輸入自由化が進んで裸の勝負になってみると、よほどのビンテージものでなければ洋酒がうまいなどとは思えなくなった。ブランデー王国フランスのシラク大統領さえ、芋焼酎を愛好するのがよく分かるのである。
むろん嗜好品だから、好みは人それぞれなのだが、大勢はどうやら国産酒に傾いているようだ。本当にいいモノは、実は自分たちの足下にあったというわけだ。不自由だった時代の偏見から脱して、
足下にある本当に良いモノに気づかされるというのも、グローバル時代ならではのことである。グローバル経済時代とは、実はローカリティーが真価を発揮する時代だということだ。
【プロフィール】 高橋 乗宣(たかはし じょうせん)
| 1940年(昭和15年) | 広島県生まれ。 |
| 1970年(昭和45年) | 東京教育大学(現筑波大学)大学院博士課程修了。 大学講師を経て、 |
| 1973年(昭和48年) | 株式会社三菱総合研究所に入社。 主任研究員、主席研究員、研究理事を歴任の後、 |
| 2000年(平成12年)4月から、同社顧問、同時に明海大学大学院教授に就任。 |
| 2001年(平成13年)5月から、崇徳学園理事長に就任。 |
| 2003年(平成15年)4月から、三菱総合研究所社友。 |
| 同社ではマクロ経済問題全般をカバーし、入社以来、景気予測チームの主査を長くつとめた。大学では「日本経済論」、大学院で「現代日本経済特論」を担当している。
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『COP3の謎』 古川 隆 中国地方総合研究センター会長
今の時期、学生に「環境問題」の話をする場合「COP3京都会議」の位置付けに毎年悩まされる。
日本では京都会議を契機にして循環型社会構築に向けていろいろな条件整備が行われ、国民の意識改革にも役立ってきた。
また、地域経済へも3Rに関連したビジネスを中心に影響が及び、実効も上がってきている。
しかし、『COP3』の基本的事項である、CO2削減目標の、語呂合わせのような、日本6%・アメリカ7・EU8などの数値はともかくとしても、
削減の基準年となる1990年は決して適正なものとはいえない。
1990年には日本では、2度にわたる石油危機を経て『省エネルギー』がすでに大きく進んできており、一方EUでは、
東欧諸国を中心に、まだまだ『効率』は悪く、削減の余地が大きい年であった。
去る3月22日に開かれた「中央環境審議会」で、環境省は「予想外の事態」として「IT機器の急速な普及でCO2の排出を大きく押し上げる可能性が出てき、
目標達成がさらに厳しくなってきた」と報告したと伝えられた。
新聞の見出しには「技術革新排出を加速」の文字が躍ったが、実際は「もともと達成不可能なものを織り込んでいた」というのが偽らざる事と思える。
京都会議は、いたずらに駆け引きに明け暮れ、日本はほんろうされ、わが国の戦後外交の欠陥と、縦割り行政の弊害が出た会議と思える。
ある新聞社の元編集委員でエネルギー問題に詳しい新井光雄氏は「できない約束をしてしまったのはどうしてか。今もってよく理解できない」との自身の思いや、
その場にいた日本の外交官の言葉として「二国間交渉でも弱い日本。多国間となったら右往左往してしまうのが、日本の外交です」を、最近、したためている。
昨年暮れのミラノでのCOP9で小池百合子環境相は「京都議定書の一日も早い発効が大切・・・議論している場合ではなく行動をとるべき」と表明した。
環境省はこのため「地球温暖化対策税(環境税)」の構想の実現を目指している。仮にCトン当たり3400円とすると、ガソリンは2−3円の上昇、
燃料を全部石炭・石油とする場合の電力は、60銭−80/kWh程度高くなる。
『税金』は『何のために』が重要である。環境省は「(1)抑止効果 (2)税収を利用しての対策」を狙っているが、ガソリンは元々リットル当たり100円がらみであり抑止にはつながると思えない。
電力の場合はやや複雑である。一般家庭への影響は標準家庭で200円/月程度で、ガソリンと同じであろう。
電力多消費産業では、条件の厳しくない外国への移転により、日本はさらに空洞化が進み、CO2は日本では減るが、地球的規模で見ると増えることになりかねない。
対応策についてもはっきりしていない。ちまたでは「環境省と農水省は水面下で手が組まれている」との噂さもある。『税の何分の一かは「森林の育成」で「農水省」に』という内容で実(まこと)しやかである。
地球温暖化の問題は、世界の中で排出量の1・2・3位を占めるアメリカ・中華人民共和国・ロシアを除いてうまくいくわけがない。寒冷地ロシアでは本当に『温暖化』はいけないことと思っているのであろうか。
京都議定書の数字は、大不況や強烈な規制を想定しない限り、日本でも世界でも、達成は到底不可能と思われる。
日本は、改めて、全世界を対象に、合理性に近い数字や技術開発の目標を掲げた協定が成立するよう、働きかけるべきではなかろうか。
【プロフィール】 古川 隆(ふるかわ たかし)
1955年 神戸大学卒業 中国電力入社
1995年-2001年 中国電力 副社長
1996年-1999年 広島経済同友会 代表幹事
2002年6月 ひろしま文化振興財団理事長に就任
安田大学 客員教授・広島経済大学 特別客員教授
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『トヨタ社長、社外で大人気 経営好調で活動幅広く』(5月6日(木))
トヨタ自動車の張富士夫社長が、社外での活動を活発化させている。財務省が発足させた「参与」に就任し、防衛計画の大綱を検討する首相直属の懇談会にも参加。グループ以外の企業の社外取締役にも就く。
今年3月期の連結純利益見込みが1兆円を上回るという、企業経営の優れた手腕が評価され、各分野から引く手あまたとなっている。
日本経団連の会長でもある奥田碩トヨタ自動車会長が6月以降も続投し、「奥田―張」態勢の安定感は増しており、張氏は社外活動をしやすい環境にある。
一部から「次の経団連会長には張氏」と気の早い声が出るなど、財界トップ就任に向けた布石にもなっている。
財務省の参与会議は、経済に詳しい民間の識者の意見を政策運営に役立てる目的で、今年から新設。張氏は西川善文・三井住友銀行頭取らとともに任命された。
6月にはJR東海の社外取締役となる。張氏がグループ外の企業の社外取締役となるのは初。
さらにトヨタ、JR東海、中部電力の3社が2006年4月の開校を目指す全寮制の中高一貫校では、豊田章一郎名誉会長とともに準備委員会に名を連ねるなど、活躍の幅が広い。
米タイム誌は最近、「世界の政治経済で最も影響力を持つ100人」に、奥田、張両氏をそろって選出。既に政財界で強い影響力を持つ奥田氏と並んで選ばれたことで、社外活動にますます弾みがつきそうだ。
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