広島都市圏 路面電車軸に整備を 広島電鉄社長 大田哲哉氏
――路面電車は人や環境に優しい交通機関として改めて注目されています。超低床車両や電停のバリアフリー化など安全で快適な運行に先進的な取り組みを進めている(株)広島電鉄の大田社長に広島都市圏の公共交通の課題と今後の事業展開の方向などを伺います。広電が導入した国産初の超低床車両のグリーンムーバーMAXの鉄道友の会ローレル賞受賞おめでとうございます。
〔大田氏〕9月に受賞し大変名誉ある事と喜んでいます。グリーンムーバーはこれまでに日本鉄道賞、通産省のグッドデザイン賞、広島市のユニバーサルデザイン賞を頂いており今回で4件目です。
――超低床車両導入の狙いとこれまでの成果をお聞かせ下さい。
〔大田氏〕昭和40年ごろから日本の各都市では路面電車が姿を消していったのですが、ヨーロッパでは逆に路面電車が見直され新しい交通システム、ライト・レール・トランジット、頭文字を取ってLRTといいますが、そのLRTの導入が進んでいました。わが社もこの新しい交通システムを視野に入れ1999年からグリーンムーバーを計画的に導入してきました。グリーンムーバーは非常に輸送力があり、また快適でデザインも良い。そこで国産化にチャレンジし造り上げ、究極の路面電車の意味合いからMAXの名前を付けました。こうした車両が国産化できたことで全国の路面電車の近代化が進んでいくのではないかと期待しています。
――地方都市はマイカー依存度が高いのですが広島市での公共交通の役割、課題といいますと。
〔大田氏〕公共交通は都市規模により整備の仕方を変えるべきです。昼間人口100万人以上の都市は鉄道や地下鉄がやはり必要です。逆に20万人以下ならバスが適当でしょう。広島はLRTの先進地フランスのグルノーブル市やドイツのハノーバー市と同規模の街。LRTで整備するのが適当だと思います。
――LRTのメリットは大きいと思いますが導入に向けての課題もあるのでしょう。
〔大田氏〕広島市が策定した新たな交通ビジョンの取り組み事例として路面電車の整備があるので紹介します。「宮島線の輸送力増強」「LRT化推進」「利便性高い運賃制度」「交通結節点整備」「ICカードシステム導入」「路面電車のネットワーク拡充」「公共交通の優先システム」などがあり、横川駅の結節問題など一部は整備済みですが多くの課題があります。これらの問題を解決するには多額の費用がかかり運賃も高くなる訳ですが、リーズナブルな運賃維持のため国のLRT補助制度があります。現在はLRT総合整備事業として路面電車の走行空間の改築、都心再生交通拠点整備などほとんどに補助が付きます。国の予算は付いても地方都市の財政悪化で国と同額の負担が難しい時代になっています。しかし市民の足の利便性を図るためには自治体の理解と協力は不可欠だと考えています。
――LRTを含めた路面電車は地域づくりの軸としての役割も大きくなっていますね。
〔大田氏〕フランスのストラスブルグの例をいいますと、この街は自動車の排気ガスでローマ時代の歴史的建造物が汚れてしまいました。そこで地下鉄案なども含め検討の結果、環状道路内の都心部には車を入れないこととし、都心はLRTが走るほかは歩行者天国の都市づくりで成功しています。
――広電の今後の戦略展開を聞かせて下さい。
〔大田氏〕とにかくLRT化推進ですが、レトロの電車も動く状態で保存し「レトロ電車の日」を決めて古い電車で楽しんでもらいます。トラムレストランとしてゆったりと電車の中でワインを飲み食事してもらう都市づくりも良いのではありませんか。
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